可愛いんだ理事長から「急で悪いが下血の患者の大腸内視鏡をしてくれないか」と頼まれた。どういう事情かと聞けば、前立腺癌の放射線治療(その中でも陽子線治療)後の患者さんで下血がこのところ続いていて放射線による直腸出血だろうからとのこと。
はあ、最近多いねぇ。ざっと思い出すだけでもこの1年で4人目くらいかな。理事長からの依頼が多い。鹿児島は指宿に陽子線治療のメディポリス国際陽子線治療センターという施設があるから、そこで前立腺癌治療を受け、半年から1年ぐらいすると前立腺の後ろにある直腸が陽子線の影響を受けて出血する患者さんが多くなっている。新しい毛細血管が出現してくるが、これがちょっとした刺激でも出血しやすく1回1回の出血量は少ないが積み重なってかなりのヘモグロビン低下(出血性貧血)を来すことがある。今日のケースの写真を載せたいが、差し障りがあるのでネットで拾った同じような画像を載せておこう。↓直腸に出来た新生毛細血管の集まりで新生毛細血管はもろく出血しやすいのだ。
これをどう治療するかというと内視鏡下でアルゴンプラズマという電気とガスの力で照射して止血する方法がある。これがかなり有効で毛細血管がらみの出血には一番といっていい。↓がアルゴンガスを照射後の直腸で白く変色した部分がアルゴンガスで焼かれた部分だ。脆い毛細血管はつぶれ粘膜再生され過程で出血しにくくなる。
治療のテクニック的にはそう難しいものではないが、上の病変範囲くらいだと意外に時間を食って30分以上かかる場合もあり、今回のケースもこれで1時間は昼食が遅れてしまった。しかし、患者さんにとっては予約なしで即診断、即治療で有り難かったはずだ。青雲会病院では下血については可能なかぎり即日検査を心がけている。ま、このケースは後日検査でも問題なかったのだがね。
吐血、下血は青雲会病院に来てから私のライフワークみたくなっている。このくらいで音を上げるわけにはいかないんだわ〜。
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