2023年2月24日金曜日

大丸別荘って

福岡県筑紫野市の老舗旅館「大丸別荘」が、週1回以上取り換える必要がある大浴場の湯を年2回しか取り換えず、消毒用塩素の注入も怠る、といった法令違反があったという報道があった。創業1865年で昭和天皇が宿泊したこともある老舗高級旅館だったそうだが、掛け流しだったからそこまでしなくても大丈夫だと思ったと経営者は弁明していたそうだ。
発端は去年8月にさかのぼり、レジオネラ症を発症した客が出て、保健所が旅館の検査をすると基準値の2倍のレジオネラ属菌が検出された。この時、旅館側は保健所に管理簿を示し「水の入れ替えを週1回以上行っている」「塩素の濃度は基準値を満たしている」と虚偽の報告をしたんだとか。さらに、今年11月に保健所が抜き打ち検査を行ったところ、なんと週1回お湯を取り換えなければならないはずが、年に2回しか行っていないことが発覚し、さらに基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出され、塩素濃度を測定では濃度が基準値以下だということも判明し、保健所が旅館側を追及すると、内容は虚偽であったことを認めた、と。
これはいかんねえ。

源泉かけ流しでもレジオネラ属菌は発生するのかという疑問に、NPO浴衛協九州支部新道欣也支部長は「汚染リスクがあるポイントはいくつかある。最も多いのは源泉の湯をためる貯湯槽。そこが発生源になる可能性が高い」とのことだし、専門家によると、パイプなどに汚れがたまり増殖するケースもあるらしい。旅館の宿泊者専用の浴場では、24時間入浴が可能なこともHPで宣伝していたが、福岡県の条例(連日使用する循環浴槽の場合)では週に1回以上の完全な湯の入れ替えが義務付けられていた。年間だと50回以上は湯の入れ替えが必要だが、大丸別荘では少なくとも2019年以降、休館日のみ。一年に2回しか湯を入れ替えていなかった。

50回もお湯の入れ替えをすればコストも掛かるだろうし、おそらく「これまでもこうしてやってきて大した問題もなかったんだしー」という甘え、あるいは万葉集にも詠まれた由緒ある温泉という自負、おごりのようなものがあったのか。実は私たちもここではないが二日市の温泉に入ったことがある。市民が利用出来る大衆浴場でだったが、その時もこの大丸別荘は別荘ならぬ別格だと聞いていた。それにカールの沖縄の友人が娘さんが九州大学に入ったということで福岡を娘とドライブした際に、大丸別荘を利用し昼食&温泉に入って「すごく良かったわよー、カール」と教えてくれ、一度行ってみたいと思っていた旅館だった。

公衆浴場法は調査への虚偽報告に対し「2000円以下の罰金」との罰則を定めていて、福岡県は今回のケースが適用できるか現在確認中だそうだ。2000円ですむならいくらでも払ってもいいが、ダメージは大きいだろう。レジオネラで肺炎を起こすと死ぬことすらある。死人が出なかったのは幸いだった。そしてHPによると「12月末より換水清掃および塩素注入の体制を整え、基準を満たしたうえで大浴場の営業を再開しております」とあり再開しているそうだが信用を失った代償は大きいだろうと思った。でもだよ。ネットで予約状況を調べると今週末は埋まっているのよ。へーーえ。料理なしの温泉利用宿泊だけでも2万から4万はするのにー。いや、参りました。

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