2023年2月10日金曜日

少子化問題は〇〇問題

エッセイストの酒井順子さんが少子化についてエッセイを新聞に投稿していた。

今から23年前、『少子』という本を書いたことがあります。当時、独身・子ナシの30代だった私が、「なぜ自分は子どもを産まないのか」について考えてみたのです。
酒井順子さん
 少子化は、当時から大きな問題となっていました。1970年代の第2次ベビーブームが終わると出生率は減少に転じ、『少子』を出した2000年時点では、おおむね「下がり続けて25年」という状況。
 私はその本の中で、少子化対策が現状のままであれば、出生率はこの先も「増えるわけがない」と書いていますが、気づけばその予測はまあまあ当たり、少子化は既に50年も続く問題となっているのです。
 そんな今、首相が「異次元の少子化対策」を打ち出したことで、私は期待を膨らませたことでした。が、その柱となるのが(1)児童手当などの経済的支援の強化(2)学童保育などのサービス拡充(3)働き方改革の推進―というニュースを見て、「?」という気分に。
 もちろん、いずれも今の日本には必要な施策です。私は『少子』の中で、子を持たない理由の一つとして「うらやましくないから」ということを挙げたのですが、それは、働きながら子育てをする女性達がいつも疲れ切っており、かつ夫との仲もギスギスしているのを見て、「私にはとても無理。もっと『子どもを持つって、いいことだなぁ』とうらやましがらせてほしいのに」と思っていたから。(1)(2)(3)のような対策が充実することによって、子を持つ人の輝きは増すに違いありません。
 しかし、「これは『異次元』なのか?」という疑問は付きまといます。「異次元」という言葉を最初に聞いた時、私は「ようやく結婚制度が変わるのかも」と思ったものでした。
 日本では、「子どもは、結婚してからつくるべし」という意識が強く存在するため、「子どもがほしい」と思っても、その前に結婚という高いハードルが立ちはだかります。私の周囲でも、「子どもはほしかったけれど、結婚までたどり着かなかった」と無子人生を歩む人がどれほどいることか。
 日本では今、婚姻数、婚姻率ともに、低下傾向が続いています。「婚活」という言葉もあるように、結婚は自然に生きていればできるものではなくなり、必死に「活動」しなくてはできないものとなったのです。
 これだけ少子化が深刻となった今、そしてこれだけ結婚難の今、それでも「子どもは、結婚してからつくるべし」という姿勢を固持する理由が理解できない私。それならば、ボトルネックとなっている「結婚」という制度を、もう少しゆるくすればいいのに、と思えてなりません。
 フランスには、同性であれ異性であれ、同居のカップルが法律婚と同様の社会保障を受けることができる「PACS(連帯市民協約)」という制度があります。フランスでもかつては少子化が問題となっていましたが、1999年にこの制度を導入以降、欧州連合(EU)諸国で最も高い出生率まで回復。当然、婚外子の比率も高く、全体の約半分が婚外子となっています。
 法律婚でなくとも、カップルも、そこに生まれた子も歓迎されるこの手の制度があれば、日本でももっと子どもを持つ人は増えることでしょう。日本は、婚外子というといまだに特殊な見方をされる国であり、と言うよりも、いまだに夫婦別姓すら選択できない国。結婚を求めない若者が増えているという事実は、結婚というハードルが高すぎることを示してはいまいか。
 多様性が大切だとさんざん言われる現在ですが、子どもの持ち方の多様性という視点が、日本ではすっぽりと欠けています。たとえば、法律婚をしていない大坂なおみさんは堂々と妊娠の発表をしましたが、もしも彼女が日本に住んでいたら、産むという選択を避けた可能性もあったのではないでしょうか。
 両親が法律婚をしていようといまいと、両親の名字が同じであろうと違っていようと、親が1人だろうと2人だろうと、全ての子どもを歓迎します…という世になれば、日本も異次元に到達した、ということになるのかも。それくらいの次元を追い求めない限り、今後もさらに日本の少子化は続く気がしてなりません。

酒井さんの本は20年ほど前に「負け犬の遠吠え」を買って読んだことがある。何らかの賞を取った本で本当に面白かった。ここでいう「負け犬」とは、未婚、独身、子なしの女性を指している。当時、私の周囲にも同じような女性たちが多くいてそのような女性の生態を上手に描写していて、なるほどなるほどと肯(うなず)きっぱなしだった。このような酒井さんであれば当然少子化にも関心が出てくるはずで、私が以前から思っていたことを言ってくれてていた。

国は数年前だったか、不妊治療を受けやすく補助する制度を作ったようだ(それはそれでいいことだろう)。しかし、焼け石に水のようなことで抜本的な解決策なんかじゃないって思った。少子化問題は不妊問題より結婚問題なのだ。単純に言えば結婚しない男女が増えたから必然少子化になっている。結婚にメリットを感じにくい世の中になっているからで、ならば結婚することで経済面、生活面ですごくメリットが出るように法律を変えるなどが必要のはずと思っていた。例えば独身だと税金は高いが結婚するとかなり安くとかね。一度結婚するとその夫婦は2人くらいは子どもを持つというデータがありそれなら単純には人口は減らないわけだが、未婚率が上昇しまっている現状では少子化は避けようがないのだ。そして、酒井さんが指摘しているように、結婚をしなくても子ども産み、育てられる社会環境になるよう、ここでも法律を変えていくべきだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿