外来担当日の今日、94歳の高齢女性が診察室に入ってきた。杖をついてはいるが、年齢の割にはしっかりと歩けて受け答えも普通だった。で、カルテを見ると、うむむとなった。はて?この患者さんどこが悪いんだ?定期処方薬が出ていないので何か症状があっての受診だろうと思い、「今日はどこか悪いのですか」と尋ねた。すると「私じゃないの、息子のなの」と言う。どうやら「息子の代理受診で来た」と言っているようなのだ。そんな逆じゃないのか。「おい、息子さんがどこかにいないかい」と看護師に尋ねるが、その高齢女性が「息子は外に出ようとしない。だから処方をもらいに来たのよー」と急かした。
名前を確かめ、息子さんのカルテを開くと確かに定期薬をもらっていた。いやはや、普通はさー、59歳の息子が94歳の病身の母の薬をもらいに来るものだろう。驚いたよ。ちょっと変わり者の息子らしい。もしくは引きこもりか。驚きつつも処方を切りその高齢女性を見送った。あ、写真を撮っておきたかったな。私はよくかくしゃくとした高齢者をよく写真に撮っているのだ。うかつだった。それにしても母親はいつになっても母親、「女は弱しされど母は強し(文豪ヴィクトル・ユーゴーの言葉)」とはよく言ったもんだわ。
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