土曜午前は仕事で外来業務だった。内視鏡検査は基本やっていない。しかし例外がある。緊急内視鏡が必要と判断された時だ。
その人は70才代の男性、昨日夜から3回下血があり便器が真っ赤になるくらいだったという。私は質問をする。「腹痛があったですか」ここで脂汗出るほど腹痛があったと聞けば一応内視鏡はするが実はさほど怖い病気ではない。虚血性大腸炎であることがほとんどで下血も腹痛も一過性であることが多い。しかしこの患者さんは「そんなに腹痛はなかった」と言われる。となると、やや手強い。大腸憩室出血の可能性が高いからだ。だから緊急内視鏡を指示した。といっても土曜は私しか出来る人はいない。内視鏡担当Nsも主任の佳及さんがいてくれた。で、水タイプの下剤前処置を指示し12時頃には大腸内視鏡可能となった。
見ればS状結腸に憩室があり奥の下行結腸には血液付着がない。案の定、憩室出血は間違いない。後は出血源の憩室を探して止血処置をすればいいだけだが、この出血源憩室を見つけるのが大変なんだ。発見率は全国的にはよくて2〜3割くらい。だが私は粘って探すので5割強だ。今回はラッキーにもすぐに見つけられた。
↓一見、憩室内に血が溜まっているだけだが怪しいと思ってクリップを掛けると・・。
↓じわじわ、どくどくと出血してきた。間違いなくここが出血源!だった。クリップを使って止血する方法もあるがこのサイズの憩室だと外れて再出血することもあるので・・結紮ゴムで根元からがっつり絞扼止血する方法↓を選択。
クリップがゴムの中に入るようにするのがコツでこれなら出血点を確実に結紮できる。
内視鏡開始から30分ほどで全部の行程を終えられたのもよかった。毎回このくらいで済めば憩室出血止血も内視鏡医冥利につきるのだが、1時間2時間悪戦苦闘して出血源が分からず自然止血で済ませざる得ないことも多い。かつてピッピDrなんて「私が前にいた昔町総合病院ではハナから(出血憩室を)見つけるのはせずに自然止血に任せていました」と言っていた。なるほど、実は大きな病院だと見つけにくいということもあるのだ。以前、学会である大学病院の先生が「下血していても夜間や時間外などは絶食点滴で安静にして後日大腸内視鏡検査するためその頃には自然止血していて出血源が分からないことが多い」と言っていた。大病院に比べ青雲会病院は職員の動きがよく機動性で勝る。今日はそこが十分に生かされたケースであった。うむ。
(4年前にも大腸憩室出血について私は語っている。時にアクセスする人がいるので興味ある人は以下のURLを参考にしてみて。
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