今日の外来に付いたNsはガンバ君だった。
年配の御婦人が「先生、私、カライモを食べたら便秘改善したんですけどそれでいいですか?」と質問してきた。「それはいいんじゃないですか。薬に頼らずカライモで済むなら何の問題もないですよ」と答えると、喜んで帰っていった。
するとガンバ君、「先生、カライモって何ですか?トロロ系のイモですか」と聞いてきたのだ。「はぁ?君、カライモを知らないの」と言っても「ええ」と悪びれるところがない。鹿児島にいてカライモを知らない人に会ったことがないし、そもそもそんな質問をした人を見たことがない。「ガンバ君、君、どこ出身だったっけ?」「広島です」「そうか、広島じゃけん知らんのじゃのう」にやりとして、私はジャッキー・チェンの「蛇拳」のポーズを取った。「はあ・・」
カライモとはサツマイモそのもののことで、鹿児島では唐(から=中国)から渡来してきたイモだからそう呼ぶようになった。江戸時代に琉球を介して伝わったので「琉球イモ」とも言う。昔、カールが「サツマイモって言うけどもとは沖縄からなのよ」と言っていたが「そう、だから鹿児島ではカライモということが多い。サツマイモは薩摩以外の人たちがそう呼んだんだ」と釈明した。青木昆陽が広めたとかいう歴史的事実も知っているし、鹿児島人はイモの知識は豊富だぜ。
ガンバ君は去年結婚し、嫁が鹿児島だったのでそれに引きずられて鹿児島で働くことになった。よくある話である。「嫁とは広島で知り合ったのかい」「いいえ、福岡で知り合いました」「ちょうど広島と鹿児島の中間じゃない。やっぱり嫁の引力の方が強かったんだ」「そういうことです」と、にこにこしていた。
「ところで子どもはいるの?」「ええ、女の子が一人」「名前は?」「ルワって名付けました(無論、漢字だがそこは省く)」「ほう」「ちょっと洒落で付けまして」「というと?」「ガンバ・ルワで『頑張るわ』です。もし男の子ならロウって付けようと思っていました。『ガンバ・ロウ』って」
「うまい!」
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