アカデミー賞で韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞、ポン・ジュノが監督賞を受賞した。事前に有力と言われていて実際にそうなった。外国映画が作品賞を獲るのはアカデミー賞の長い歴史の中で初めてのことで偉業と言ってもいい。韓国人の鼻が高くなるのは日本人としては今一気分の良いものではないがここは素直におめでとうを言おう。
実は賞の発表前に見に行こうかとも思ったがチャンスがなく、病院のマチルダ師長から「見に行きました。面白かったですよ」と先に言われてしまった。こうなればじっくりタイミングみて後日カールと見に行こう。今はネット視聴環境にあるので韓ドラを主に見ていてたまに映画も見る。見ていて思うのはエンタテインメントと芸術性が上手く融合した作品が多いことで「パラサイト」もきっとそうなのだと思う。
ポン・ジュノ監督は2003年の「殺人の追憶」が有名でそれで私も名を知っていた。ただし見てはいない。2006年の「グエムル 漢江の怪物」は見た。「殺人の追憶」は有名な華城連続殺人事件(1986年~1991年)を題材にしており、これはドラマでは「シグナル(2016)」や今まさに見ている「トンネル(2017)」でもそっくりの事件が扱われていて、現実世界では2019年に真犯人が判明した。映画解説によると「俳優ソン・ガンホ演じる刑事パク・トゥマンがカメラ目線でじっと見つめるラストシーンが圧巻の一言で、ポン・ジュノ監督は当時、真犯人がかならず映画を見ると踏んで2人が目を合わせるように意図したのだ」のだそうだ。残念ながら真犯人(イ・チュンジェ)は別の殺人事件(義妹を犯そうとして殺した)で逮捕され無期懲役中だったが・・。「殺人の追憶」はU-NEXTでラストシーンだけ見てみた。↓。
韓国映画にパワーがあると思うのは映画観客動員数にもはっきり現れている。日本の半分にも満たない人口なのに毎年1千万人以上動員する映画が出ているのだ。去年話題にした「新感染(2016)」もそうだし「グエムル 漢江の怪物(2006)」もそうだ。日本は年間観客動員は1億7千万人くらいなのに対して韓国は2013年以降2億人を毎年超えている。1人が年間に見る映画本数は4.5本を超えており日本の3倍以上、アメリカをも上回っている。
相当な映画大国なのだ。実は超マイナーなインディーズ映画も多いのだがそんな土壌があってこそアカデミー賞獲得も可能となったのだろう。とすれば日本映画が獲る可能性は限りなく低いと思わざるを得ない。日本映画最盛期の昭和30年前後にアカデミー賞がこんな開放的だったら黒澤明の「七人の侍(1954、昭和29年)」あたりが獲ってもおかしくはなかったのだが・・。
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