私とカールは今日で結婚25年目を迎えた。そう、銀婚式の日だ。銀婚式って何をする?互いにプレゼントや子どもらがお祝いをすることもあるだろう。しかしプレゼントは私は苦手で子どもらも二人が県外だし特にこちらからお祝いを強制するほどでもない。そんなわけで二人で食事に行くことにした。ここでもないあそこでもないで結局私の提案で城山観光ホテルのスカイラウンジでの食事となった。実は以前「私はテルくんにどこも連れて行ってもらっていない。城山のスカイラウンジに行ったこともない」と言われたことがあったからだ。どこも連れて行かないというのは全くの言いがかりだが確かに二次会などで城山7Fのそこに行ったことはあるものの二人でのお食事はしたことがない。二人ともコストパフォーマンスにうるさいタイプなので割高に感じるところは敬遠しがちだったのだ。でも今日は特別の日だ。こういうときくらい眺めのいい最上階で優雅にお食事もいいだろう。
思い出せばもう30年以上も昔、親戚のスチョルDrの話で「ちょいときれいめの女性を城山のスカイラウンジに連れていくと意外に行ったことがなく感動してもらえる」と聞いたことがあった。学生だった私はそんなものかと思って聞いていたがついぞ利用したことがなかった。さあ、さっそく行こう、スカイラウンジ。
廊下を歩きつつ、私は自撮りでカールと写真を撮ろうとしていたら、向こうから歩いてきた30才代くらいのコックがごく自然に「写真を撮りましょう」とシャッターを押してくれた。さらに「もう1枚撮りますね」と計2枚を推してくれた。後でスカイラウンジでもウエイターに「もう1枚撮りますね」と2枚撮ってもらった。こういうのもお持てなしの社員教育をきちんとしているからなせる業だろう。
ラウンジに入ると平日夕方なのに結構席は埋まっていた。私たちは西側の窓辺の席だった。桜島側がよかったけれどあいにく雨模様で全く見えない。中央駅の観覧車が見えネオンがキラキラしていた。記念の乾杯はビールで、その後カールはワインを少々、私も珍しく城山特性の地ビールを一杯だけ飲んだ。調子こいて二杯三杯飲むと失敗するのは長い経験で分かっているのでワインを勧められてもお断りした。料理はフレンチのコースでまあ裏切らない味だった。少しずつしか出てこないけれどいつも最後は満腹だ。さらに目の前でアメリカンジェリーとアイスのデザートを作ってくれたがグラニュー糖をフライパンで焼き溶かしたものを混ぜいかにも甘そうで実際食べたら予想を超え甘かった。甘党の私でさえ驚くくらいだからカールはさすがに食べきれなかった。
食べつつの話題は結婚式のころのエピソードや子どもらのことなどで25年も経てば一昔でいろいろなことがあった。結婚式に出席してくれた家族親戚などもう何人も鬼籍に入っている。あっという間のような気もするしいろんなことがあったなあと切りがない気もする。「これからもよろしく」と記念のコメントが板チョコに書かれてあった。ホテルのサービスで事前にカールが頼んでいたものだ。ショートケーキにロウソクが1本ささっておりこれを私たちで吹き消した。まだ後25年、次は金婚式か。その時は二人ではなくもっと大勢に祝ってもらおう。先は長いようでいざとなればあっという間と思うことだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿