2015年11月19日木曜日

白鵬を擁護する

こてる日記は1週間遅れが原則なのだが旬な話題は今書かねばならない。白鵬の猫だまし物議についてだ。一昨日の白鵬対栃煌山戦での白鳳のまさかの猫だましに北の湖理事長が「横綱としてやるべきことじゃない」と断罪し、これに呼応するかのように昨日の取り組みでは白鵬が土俵上で仕切っている最中、館内から「恥を知れ」「猫だまし横綱!」とヤジが飛んだそうだ。理事長が横綱相撲とはかくあるべきとして批判するのはまあそんなもんだろう。猫だましは格下の力士が格上に対したまに行う奇策でさほどの効果があるものではない。名前もまさに格下くささが漂っている。横綱がするような戦法じゃあないってね。

でも私はラジオのNHK7時のニュースでこれを聞いたとき、「おっ」と思って是非動画で見てみたいと思った。そして白鵬がどうしても勝ちたくてすがるように使った技でなくきっとモノ試しかファンサービスではないかと思った。その後の記事ではこうあった。
・・だが、本人は悪びれていない。朝稽古後、批判を承知で試みた理由を「一度やってみたいという素直な心。技があるなら本当に効くのか試したかった」と力説。もう一度やるかとの質問には「楽しみにしている人が一人二人いるはず。その楽しみをなくさずまたいつか」と答えるありさま・・
思わず膝を叩いたぜ。その一人二人のうちの一人が私です。何も白鵬たるものが猫だましを何度もしないと勝てない器ではないのはみんな承知しているはず。おそらくは百に一度は使うかもしれない技を試したかったその気持ちはよく分かるし、観客もたまにこういう変化があると楽しい。いつも受けて立ち横綱相撲で寄り切りの勝ちだったらつまらない。これは私の単なる意見ではない。昭和40年代前半、大鵬の全盛期は実は大相撲人気が低迷していた。大鵬はそもそも受け相撲でそれでいて6連覇するなどいつも勝つ。いくら強くとも観客は飽きがきて視聴率が取れず民放も番組を手放した。NHKだけは放送は止めなかった。だから平成に入って若鷹人気で盛り上がった時も協会は民放に放映権は渡さなかったのだ。産経新聞は双葉山にあの手この手で対策を練った出羽の海一門のように「金星を狙って、あらゆる秘策、奇策を総動員して向かってくる挑戦者に、正面から受けて立つ。ファンが白鵬に望むのは、そんな大勝負である」と批判的であったが、ならばその前にふがいない今の日本人力士に野次を飛ばそうよ。白鵬に余裕出されているのは下のものが弱すぎるからさ。

白鵬は大鵬の32回優勝を超えていてまた白鵬かと客に飽かれてもしかたないはずなのに本当に強い横綱として休場もほとんどせず頑張っている。ただ勝てばいいとは決して思っていないことは猫だまし後のインタビューでも明かだ。大相撲が単なるスポーツではなく興業だということをよく分かっているじゃない。そして立派なのは理事長の苦言に屈せず自分のやったことをきちんと説明していることだ。モンゴル出身ということ、勝ちすぎなことで実績の割りには非難されることもあるが今後数十年出ることのない偉大な力士なのは明かだ。ちっさい横綱観で貶めるはよそう。

2 件のコメント:

  1. 英国人が勝てなくても、世界中から一流選手が集まってくることを誇りにするウインブルドン。もっと懐の深い相撲協会になると面白いかもね。

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  2. そうそう、何かしら外国人差別を相撲協会周辺には感じるんだよなぁ。

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