2015年11月13日金曜日

50代で死ぬ人

火曜日にNSAIDs潰瘍の話をしたが、それはこの2ヶ月その疾患が多かったからだと書いた。で、もう一つ最近多いのがあって、それは大腸のポリープ癌だ。2ヶ月で6件もあった。みんな開腹手術ではなく大腸内視鏡でポリープ切除したら実は癌が混じっていたというものだ。ほとんどが粘膜内癌で幸い追加切除が必要だったケースはない。癌と言って通常のポリープ切除と差はないからこの時点で見つかった患者はラッキーだ。大腸癌検診から検査を受けたケースが多いので検診がいかに大事かということ。進行が比較的ゆっくりで癌になっても手術なしで治ることも多いこの癌で死ぬはアホらしい。

だが、今日大腸内視鏡をした57才の女性はこんなにひどい直腸癌はないというほどのすさまじい癌だった。肛門から15cm近くも全周性の癌浸潤があり当然狭窄寸前だ。こんなにひどくなる前に症状があったはず、確かに血便もあったし貧血も指摘されていた。しかし受診していない。どうにもならなくなってこの前外来にきて今日この有り様だ。腹腔内に播種もあるだろうし肝転移、リンパ節転移もあるだろう。完治の見込みはない。しかしこのままだと腸閉塞を起こす。手術はしなくてはならない。そこまでは言わないが腫瘍があり手術が必要だと伝えた。

成り立ての癌に症状はない。風邪には症状がある。だから人は風邪で病院には来るが早期癌では来ない。風邪が癌より重症と考えている人はいないのに現実の行動はそうなのだ。かしこい人、生き延びる能力に長けた人は早期癌で病院にやって来る。検診をうまく活用しよう。病院を嫌がらないようにしよう。50才代で死ぬのは馬鹿らしいじゃないか。

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