昨夜は当直で特に忙しいわけでもなかったのにえらく疲れていた。医局ソファ寝で9時くらいから0時過ぎまでうつらうつら。しかし「肛門が切れている」とのふれこみで来院した高齢男性のせいで起きざるを得なくなり、行ってみると・・。単なる直腸便秘で診断と治療がいっしょになった摘便を繰り返すこと10回以上、こんもりいっぱい出てきて、救急外来には薩摩香水の香りが充満した。お目々も覚めた。はぁー。
今朝は久々の外来業務だ(先週は学会で休み)。そんな中、平成生まれの学生さんで「陽花里(ひかり)」さんという名前の後に昭和41年生まれの「志緒里(しおり)」さんという名前の患者が来た。診察終わって私が担当の服裂き魔Nsに「陽花里は今風でありがちな名前だけれど志緒理は40年以上前にしては『モダン』な名前だね」と言ったところ、「モダンという言い方が・・」と古くさいと指摘されてしまった。あはー、それはそうだ、これはイカンイカン。「でもさー、モダンはともかく『ナウい』って言わなくて良かったよ。それ言ったら死語だー」「今の人は何それ?ですよ」「うんうん」「そういえば、この前タッピーNs(50才代)が『あのアベックが』って言っていたんですよ。『アベックって?』てそばにいた若い子が怪訝な顔をしていました」「はぁー、オレ小学生のころ、アベックって言っていたわ」
今では若い男女二人は「カップル」という言い方が普通だが昭和の40年代くらいまでは「アベック」が普通だった。これは元々はフランス語で英語でいえば「with」に相当する単語らしい。しかしフランス語でカップルの意味はなく英語同様の綴りで「クプル」と発音しそれが日本の「アベック」の意味だ。今じゃ、アベックホームランや男女アベック出場といった使われ方で残っている。生き残っているだけマシな方だ。
ほか、私はまだ使う「ズボン」を「パンツ」とは未だに言いにくい、「スニーカー」は最近そのように言えるものの下手すりゃ「ズック靴」と言いそうでコワい。「ズボン」はもともとフランス語の「ジュポン」から来ていてそれが英語の「スラックス」「パンツ」に代わられたが販売する側のイメージ戦略に過ぎず、「ズック」はオランダ語で「靴」を意味する言葉で今でもちゃんとした言葉なのだ。日本に入ると外来語として本来の意味より一部限定の意味になるため時代が経つと古くさくなり、別の外来語が求められるというわけ。昔、国語の教科書に紹介されていた「カルタ(ポルトガル語)」「カルテ(ドイツ語)」「カード(英語)」が語源は同じなのに日本に導入されたいきさつから日本語としてはそれぞれ別の意味になってしまったパターンと同じだ。
逆に日本ではそんな意味じゃないのに海外に出て行った言葉で「サツマ(Satsuma)」がある。これは温州ミカンのことでアメリカではそう呼ばれる。でも「温州(うんしゅう)」って中国のミカンの産地の地名だが、もともとは薩摩の長島が原産なのにミカンの有名どころの名を拝借したというのが真相らしい。ううむ、とかく名前はややこしいなあ。
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