2015年10月7日水曜日

「二度と来るな」

明日10月8日から学会(DDW)に行く前に10月13日の朝礼スピーチを準備しなくてはならない。今回はトラブルを起こす患者への対処法をテーマにした。ちょうど一昨日の所属長会議で可愛いんだ理事長が話題にしていた。病院に対し不満があり抗議する患者(またはその家族)に対しては何といっても「傾聴と共感」が大事だ。医師や職員側に問題があることも確かに多いからだ。しかし中には抗議されても納得いかない、理不尽なこともある。きちんと対応しても分かってもらえない、逆に病院側が良くないと執拗に抗議してくる。これにどう対処するか?

実は8月末に私が関与した患者が9月末今度は理事長の診察に来た。私はカルテに努めて冷静にいきさつを記録しておいたのだがこれが理事長の目に留まった。当然、これはどういうことだったのかと患者に質問した。すると、患者はまた怒り出しだしたんだそうだ。特に外来師長の発言に立腹していた。あの時私は患者をなだめた。それで収まり帰って行ったが、師長や看護師らの言い分を聞くと、特に問題がなく患者側に理不尽さが目立ったのでそう書いておいた。理事長診察が終わったあと、またもやその患者は受け付け事務員に向かってわーわー抗議していたとか。8月の時と同じである。今度は理事長が私と同じ立場で師長以下に事情を聴いて抗議している患者のところに行ったそうだ。

「それで?理事長は何て言ったの」と事の子細を知っている外来看護師に尋ねた。結末を知り私は心の中で快哉を上げた。理事長は言ったそうだ。「あんた、もう来んでよか」「え?」「二度とうちには来んでよろしい」これにまた患者は「医師会に言いますよ」とか「ひどい病院だと世間に言いふらしますよ」といきり立ったが、それにも「構わない、どうぞどうぞ。あなたが来なくても来る人はちゃんと来る」と言い放ったとか。

なかなかこんなことは言えるものではない。しかしスピーチのために今日看護師や事務職員に尋ねるとこの患者が来ないと知って「良かった」「ほっとしている」との反応だった。職員を守るためにも理事長の判断と発言は正しかったと思う。「患者様」などという表現がまかり通るご時世に患者側の意識が肥大化し多少の文句や抗議はして当たり前、患者と病院は対等と勘違いする人もいる。そこで立場の弱い職員が毎月のように嫌な思いをして応対しているケースも出てきているのだ。

今度のスピーチはその理事長の言葉がハイライトだな。ただ、何でもかんでもそのような発言がいいと職員が勘違いするといけない。何度も書くがまずは傾聴し相手の立場に共感が基本だ。薬でいえば一般薬で理事長のそれは劇薬だ。取扱には注意。そうか、スピーチの最後は私のボウリング投球で締めるのが恒例になっている。ふふ、取扱注意すべき投球で、ガターすれすれからストライクを狙う動画があったぞ、よし、それを使おう。おお、だいたいスピーチスライドの概要が出来つつある。ここまで決めておけばスピーチのことで気を揉みながら学会に参加する羽目にはならないわ。

いやー、それにしても理事長の「二度と来るな」発言には「びっくりぽん」やー。

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