2024年9月6日金曜日

アランドロンはなくなったが・・

 午前外来に90歳を越える女性患者が来た。最近は90才越えの患者さんも全く珍しくなく、この人も少し腰が曲がっているが自力で歩いて来ていた。高血圧や骨粗鬆(こつそしょう)症の内服を定期的に処方している人だった。少し耳が遠いが話をするとまだしっかりとしている。いつもと変わりないのを確認し処方を出した。

すると、その中に骨粗鬆症の治療薬で週に1回起床時に飲むアレンドロン酸という薬があり、それが少し残薬があるので今回は3週分でいいと言ってきた。ふむ、ならばそのように処方しておこう。そこで私は彼女の耳に口を近づけてこう尋ねてみた。

「アラン・ドロンが亡くなったって知っています?」「え、何ですか」さらに耳に近づいて「アラン・ドロンを知っていますか」と聞いた。すると「ええ、もちろん。若い頃はアラン・ドロンの映画はよく見ました」と期待通りの返事だった。そこで「アラン・ドロンはつい最近亡くなったんですよ」と教えたら「あら〜」とのこと。

今時の20歳代はフランスの俳優アラン・ドロンってほとんど知らないんじゃないかな。彼を一躍有名にした映画「太陽がいっぱい」は1960年作だからすでに60年以上は経っているしー。私が中学生の時、同級生のある女の子は20歳以上年上にも関わらずアラン・ドロンが大好きだった。それくらい日本では人気があった。だからその90才越えの御老人も当然知っていると思ったのだ。

骨の薬であるアレンドロンは当初商品名でフォサマック(万有製薬)やボナロン(帝人)という名前で売られていた。しかし特許が切れてから一般名のアレンドロンの名前が前面に出てきた。これを知り私なんぞ「最初からそのままアレンドロンで売っておけば覚えやすいし書きやすくもあった。年寄りになったアラン・ドロンを広告に使ってもいいくらいなのに」とさえ思ったものだ。特にフォサマックがフォッサマックと書きたくなり入力しづらかったのだ。そんな経緯もありカルテに↓のように書いた。ま、許されるよね、これくらいは(⌒о⌒)。


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