岩ちゃん店長は続けてこう言ったのだ。
「実は明日で店を閉めるんです」
えーーっ!聞いてないよぉー。びっくりだ。
この団地に来て丸21年。最初の半年くらいはあちこちの理髪店やはたまた美容室にまで行ってみたが、岩ちゃん倶楽部に落ち着いて20年以上ここしかリヨウしていない。イヤ困ったな・・。
で、私が18時以降、そう18時半頃なら行けるかもというと「大丈夫です、18時半に予約しておきます」と岩ちゃんは言ってくれた。
今日は当番医でシマッチ院長と二人で主に外来患者を診た。まあまあの忙しさで17時半まで勤務のところ病院を出たのが18時05分。半までには間に合いそう。それで電話連絡するもなぜか電話には出ない。少し不安な状態で店に着いた。するとまだ先客の髪を刈っているところだった。座って週刊現代などパラパラ見ていると「こてるさんどうぞ」と呼ばれ席に着いた。「いつもの通りで?」「ええ」とそれだけ。ここ何年もそれだけで済んでいる。
いつもならウトウト寝てしまうことも多いが今日はずっと起きていた。特に変わったこともなく時間は過ぎ「はい、どうぞ」と顔を拭く蒸しタオルを渡され散髪は終わった。なぜ店を閉めるのかは聞かず、「これからどうされるの」と尋ねると「宇宿にある店に務めます」と言う。「宇宿・・私がこっちに引っ越すまでいた所です」「ほう」「そうですか、残念ですが、またそちらでも頑張って下さい」「ありがとうございます」と言って、店を閉めるというお知らせのプリントした紙を渡してくれた。
いつものように帰ろうとしたが、店長自らドアを開けてくれた。こんなことは初めてだった。次に待っている人はいなかった。図らずも私が最後の客だったのだ。安心して任せられる良い理髪店だったのに・・。次からはどうしようか。ともかくも、ありがとう「岩ちゃん倶楽部」。
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