2017年11月13日月曜日

ドクヘリDr小林誠人

NHKのプロフェッショナルは日本一のドクターヘリ出動数を誇る医師「小林誠人(こばやしまこと)」が特集だった。

小林Drは兵庫県豊岡市にある但馬救命救急センターのトップを務め、救急医歴20年、まだ48才の若さだ。豊岡市って地図でみれば兵庫とは言っても日本海に面しあとは山ばかりの地域で、市外も含め半径80キロ圏内、東京をはるかに凌ぐ広域をヘリでカバーしている。小林Drは単に救急患者を診るだけでなく地域の救急システムから構築していったのがすごい。今では有名になったキーワード方式は鹿児島でも使われ迅速な出動に役だっている。中には結局はドクヘリの必要はなかったケースも5回に1回はあるがそれは織り込み済みで、不要例を0にしてしまうと本当に必要だった患者を呼ばなかったとか遅れて助けられなかったというケースがしばしば起こってしまう。数字でいえば彼がセンター長になって8年、重症外傷患者救命率が5倍になったという。

青雲会病院でもドクヘリで運ばれてきた患者を診ることがある。中には救急車の方が早かったのではと思うケースもあるが、さっきのキーワードに反応して行動する方がトータルでは助けられる命が多くなるだろう。

後半にドキュメントされたケースは高齢女性が呼びかけてもほとんど反応がないとのことでヘリが出動し、小林Drらが現場に向かったところ、素早く診察しショック(精神的ショックの意味ではない)を起こしているのは分かるが原因はまだ推測できないというものだった。病院到着後腹部CTで原因が分かった。総胆管に結石が詰まって起きる急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)だった。で、小林Drは「すぐに手術をする」と言う。あれ?と思った。手術より内視鏡(ERCP)が優先じゃないのと思った。内視鏡で総胆管の出口を切開もしくは拡張し汚い胆汁を排出させれば劇的に改善するはず。その時に結石も取ればなおいい。番組ではそこは詳しく触れていなかったが、「胃が全摘」との発言があり納得した。実は胃が全部取られ十二指腸が再建されると、とたんに内視鏡は難しくなる。なるほどこの場合はすぐに手術して総胆管を切開し胆汁を排出した方がいい。画面ではプシュっと排出される感染胆汁が出てきて非常にリアルだった。番組最後で助かった高齢女性が食事を摂る様子も出ていた。そこまで見せてくれないと視聴者は落ち着かない。

ドクターヘリって全国どこでもあって何百機も飛んでいると思いきや、確か49機ほどでまど導入されていない都道府県も結構ある。鹿児島のような地域は利用価値が高いが東京都内(小笠原諸島は除く)はおそらく最後まで導入されないだろう。ただし、私も姶良で救急医療に携わっているが、ごめんドクターヘリには乗りたくない。怖いんだよ、ヘリが。ヘリって落ちるでしょ。毎年いや毎月のようにどこかで落ちて誰かが死んでいる。それを年に1900回ほどってあんた、ダメダメ、私にはとうてい出来ない。小林Dr、真に尊敬するわ。

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