幸先良く私が東2局にリーヅモ一盃口裏ドラ2の満貫を上がると、次の東3局にはサブアラド五段がリーチドラ5(赤五ドラ3枚に本ドラ2枚)というえげつないハネ満を下家から上がり早くもマッチレースの様相となった。東4局に私は配牌で対子1つだったのが6巡目目にはあっという間に断ヤオ七対子(ドラ1)を聴牌した。これに親のサブアラドが喰いタンドラ2の手で追いつきさらに下家がホンイツの満貫手で勝負してきた。ここで私がサブアラドよりロンし6400ゲット。これが決め手だった。
このあとは無理をせずに流しオーラスも私がサブアラドより2000点を上がりトップで終了、六段昇段を決めた。
これでサブ雀士の「こてる」はしばらくお休みし、今後はメインである「デルバラド七段」で天鳳の最上級鳳凰卓で対戦しようと思う。
このあと、アガサ・クリスティーの「マギンティ夫人は死んだ」を遅くまでかかったが読了した。この作品は巻末解説者もネット諸氏も「犯人を当てられなかった」というくらい犯人当てが難しいが、私は二人目の殺人があり大団円の前にきっぱり当てられた。これは長年クリスティーを読んでいるからこそだろう。TVでもそのシーンになりポワロが最初別の人物を犯人であるかのように言うので「ええ?」と思ったがこれもよくある演出だった。犯人当てのコツは作者の立場になって誰が犯人ならもっとも意外だろうと考えることだが、クリスティーの場合はそうは思っても動機がうまく隠されていることが多く(この作品も「五匹の子豚」も「死との約束」も「鏡は横にひび割れて」もそう)、また犯行が不可能だと思えたり(「白昼の悪魔」「死との約束」)して相当に難しい。今回はトリックも見破って動機ははっきり分からなかったがまあクリスティーに勝ったわ。
ところでこの作品であれまと思ったのが、作中にクリスティーとおぼしき女性推理作家オリバー夫人が出てきてこんなセリフを作中人物に言われている(ハヤカワ文庫259ページ)。彼女のメイン探偵はスェーデン人スベン・ヤルセン(クリスティーでいえばベルギー人ポワロ)だが、実は自分で創り出していながら嫌っていて「実際にこんな人物と出会ったら殺してやりたいわ」と言うと「そりゃ素晴らしいアイデアだ。スベン・ヤルセンを殺してそれを『白鳥の歌』として書くんですよ。あなたの死後出版されるようにね」と。これってポワロ最後の事件「カーテン」のことじゃないか。
クリスティーは1942年ごろ自分の死後出版されるようにとポワロの「カーテン」とミス・マープルの「スリーピングマーダー」の2冊を書いていた。それは銀行に厳重に保管され30年以上経って1975年に「カーテン」は発表された。本当は死後のつもりが80才を越え作品を書けなくなったクリスティーが生前出版を許可したのだった。「カーテン」のあらすじを1952年のこの作品でこっそり書いていたのだ。
作者のお遊びだが後でそうだったかと気付かされるのはクリスティー作品には毎回のようにある。でも多くの読者は気付くことはない。「愛国殺人(1940)」にも本筋とは関係のない少年がある言葉を発する。私もだったが多くの読者はそれを無視する。そうしたくなるのだ。しかし後でポワロに「少年の言った『XXX・・』は本当だったのです」と指摘され、あは!やられたっと思うのだ。さすがクリスティー、今回もそう思った。
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