2015年6月24日水曜日

テレクラで学ぶ

最近は不特定男女の出会うシステムとしてネットで出会い系サイトとかあるらしい(私は詳しく知らない)。しかし30年近く昔はテレフォンクラブ通称テレクラなる男女の出会いを促す風俗店があった。これは店の人がちまたの女性に店の電話番号を書いたチラシやティッシュを配り電話を掛けて下さいとお願いをする。女性は興味があればそこに電話をしてみる。するとそこに店には時間いくらで入店しいつ掛かるともしれない電話を前に男性が待機していてなにがしかの会話をするシステムだ。男性はほとんどが女性との性的な出会いを求めていたが、女性は単なるからかいもあれば見知らぬ男性との会話を楽しむ場合もあり中には男性の誘いに乗って実際に会いデートすることもあった。店側も女性からの電話がないと客が来ないのでサクラを用意してそこから電話を掛けさせることもあったらしい。

今日、久しぶりに私に電話のあった某SH先生が、話の中で「患者さんが手術に迷っている時、安心させてそれを決意させたりするのに、オレはあのテレクラでの経験が役に立っている」と述懐していた。良い雰囲気の中でうまく会話のキャッチボールをする必要があり患者さんをその気にさせるのは女性を口説くときと似ていると言うのだ。なるほどねえ。医学生は何も机に向かって教科書を勉強するだけではない、その他、いろーんな経験が医者として今役に立っているとの意見に私も大いに同意した。部活動したりバイトしたりで知らず知らず人と上手に接する訓練をしていたのだ。

それを言われて私が思い出すのは、小学生のころ毎日のように天文館公園で遊んでいたことで、近所の同級生だけでなく先輩後輩入れ混じりボール遊びやカルタ、泥んこ遊びなどしたものだった。その経験が今臨床の場でチーム医療をする上で役に立っている気がする。

そんな中、同級生でSK君という優秀な生徒が近所にいたのだが、私は彼と遊んだ記憶が全くなく、中学受験をするときになって口を利くようになった。彼は当然のように名門お猿中学に合格したが私は落ちた。まあ仕方なかったとも言える。ところが中学3年のころ、噂でSK君がお猿中で浮いていて周囲にあまり好かれていないと聞いたことがあった。そんなこともあるかもとさして気にとめてはいなかった。
やがて大学受験が終わり、私は運良く鹿大医学部に合格でき、教養部キャンパスで学生生活が始まったばかりの頃、ばったりSK君に出会った。彼は法文学部に入っていた。いや、それでも立派とは言えるが彼なら東大法学部に入っていてもおかしくなかったはずだ。実際、一期校(当時は公立は一期校二期校に分かれていて鹿大は二期校)は東大を受けるも落ちていた。少し気まずそうな様子で「やあ」と挨拶をしたが私は立ち入って話はしなかった。噂では母子家庭だったこともあり母親が怒って浪人をさせなかったらしい。
それより私が思ったのは、彼は対人関係の基本的なことを子どもの頃学ばず(学べず)孤立していたことが受験にうまくいかなかった理由ではないかということだ。受験は個人の努力だけでは決まらない。優秀なお猿高の生徒もみんなで影響しあってこそ能力を発揮出来る。受験は団体戦だという教師もいるくらいだ。

優秀だった彼はその後法文学部の教授に勧められ大学院に進んだとか噂を聞くも、その後杳(よう)として行方は知れない。

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