女子高校生が祖母と内科受診に来た。1週間前から発熱があるという。主に夜間出るとのことだ。簡単に診察するもはっきりと原因は分からない。そこで採血をした。そこでむむ?と指摘できる異常データがあった。肝機能がやや上昇していて白血球の上昇もあり好中球よりリンパ球が極端に多かった。腹部CTを撮ってみた。すると案の定脾臓が大きく腫れていた。あはあ、やはり伝染性単核球症か。EBウイルスの初感染で生じる病気でリンパ節腫大の他、肝機能異常や脾腫を起こすこと多い。日本人は幼い子どものころに7、8割が感染しだいたい症状が出ずに終生免疫を獲得する。中には思春期で初感染する人がいてその場合5割くらいが発病する。
どのように感染するかというと主に唾液を介してである。思春期、唾液とくればこれはキスしてのことが多い。アメリカでは「キス病」という別名もあるくらいだ。だから「どこから感染したのですか」という質問には慎重を要する。「あんた誰かとチュッチュッしたでしょ」なーんて言うと傷つく若者もあるかもしれない。そこに家族がいればなおさらだ。正直に答えないかもしれない。ちょうど祖母がその場を離れて時だったので私はそれとなく尋ねた。とんでもないという返事だ。見た目確かにまじめそうでチャラい印象もない。なるほど、信じますよ先生は。
唾液が感染源になると説明すると、この女子は吹奏楽部に所属していると分かった。で、リードという口あてをしょっちゅう交換するし友人と共有することも多いとのことだ。あはー、なるほど、唾液感染があってもおかしくないねー。本当にそうかは断定できないが、ともかくも満足して患者さんとその家族は帰っていきました、とさ。
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