2014年11月4日火曜日

人間力

連休明けで月初めでもあったせいか今日の外来患者は多かった。私は内視鏡担当でそこまでバタバタ感がなかっただけで忙しいことに変わりは無かった。入院患者もいてその中に虫垂炎の初老男性がいた。症状が良くなったのはいいけれど病棟診察に行くと何だかお顔が険しい。唇震わせながら言うことが「さっきの男性看護師には頭に来た。私にタバコを吸うならば強制退院してもらいますと言ったが医者に言われるならともかく云々」と。で、実際に吸ったのかと尋ねると「吸っていない。でも頭に来たので妻にタバコを持って来てもらい、外で吸ってやった。こんなことではここにはいられない、今晩帰る」と怒り心頭のご様子だった。私は「失礼な言い方だったらそれはいけないことでしたね。きちんとその看護師に話しをしてみますから」と取りなし病室を出た。

その前に病院の決まり関係をー。「タバコを吸ったら退院」を看護師が患者に言ってもそれは問題ないことである。青雲会病院では入院時に事務方がこの点を必ず説明する決まりだし、そのような行為を見つけたら医師であろうと看護師であろうとすぐに注意するのは当然である。その患者は医師より格下のましてや人生経験においても下っ端の若造からそのようなことを言われたことに自尊心を傷つけられ頭に来たということなのだろう。そもそも事実関係はどうなのだ。本当にタバコを吸ったのか?ナースステーションでマチルダ病棟師長がいたので尋ねると「言葉遣いや言い方に問題があるはずがない」と言う。それに別の看護師から「吸っていたのは間違いない」「匂いもした」との証言もあった。ふむ。その患者は外来でも一癖あり医師に対しても素直な態度でないことがあるのは私も知っている。後から「吸ってやった」行為からもおそらくは吸っていたのだろう。でもここは虫垂炎が完全に治癒したか医学的に微妙な状態でもあったので一晩は様子をみたい、退院はまだ待って欲しいと説得した。炎症がぶり返したらせっかくの治療がやり直しだ。私のなだめにようやく感情抑えて同意してくれた。やれやれだ。

患者も人間、看護師も人間、マニュアル通りには行くとは限らない。応対には人間力が必要だ。

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