2023年1月10日火曜日

S状結腸軸捻転は解除された

連休が明けて、本格的な新年真冬の診療が始まった。本来は内視鏡担当日なのだが、朝からいきなり肺炎患者の入院を受け入れ、さらに昼にはまたもや肺炎患者の入院を受け入れた。いずれも他Drからの依頼だ。他に他病院からの依頼もあったが内視鏡検査も忙しいしそれはやんわりお断りした。

私の外来から大腸内視鏡を始めて受けさせた初老の男性、ポリープがいくつかあってそれを全部ポリープ切除して上げると、喜んでいたねぇ。あんまり検査には乗り気でなかったが、結果が安心につながると「やって良かった」と大いなる満足感に包まれるものなんだ。

午後は外科から急患の大腸内視鏡を頼まれた。大腸の腸閉塞があり「S状結腸軸捻転か、はたまた直腸癌の完全閉塞か」という。腹部CT画像を見たら前者だとほぼ確信した。うんこ内視鏡が必須だがこれは私の出番だ。スコープを挿入してすぐにS状結腸軸捻転と判明した。腸管が捻れて虚血に陥り放って置けば腸管壊死を起こし危険な状態になる。いや、すでに食事も取れず肺炎も併発していて酸素吸入が必要な状態だった。それでも腸の捻れは解除させねならない。↓赤い粘膜の方が虚血で色が悪くなっている部位。

だいたいにおいてS状結腸軸捻転を起こす患者さんは寝たきりの高齢者が多い。腸が長くてその動き鈍い人がなる。残便と腸管ガスの中をスコープ挿入させ、いったんは横行結腸まで入れることが出来たが、その後の捻れ解除に手間取った。

何回かチャレンジして上手くいかなかったが、体位を右側臥位にすると捻れの方向がいわゆる逆αーloopになっていると分かり、捻転解除出来た。
↓が解除直後のレントゲン画像で、私はこんな時でも写真記録に執念を燃やす。

ほぼ成功したとは思ったが、再度スコープを挿入して間違いないことを確認して手技を終了した。最初のレントゲン画像とは違い、スコープが大腸の走行どおりになっているのがわかるだろう。↓参照。終わった時は大汗かいていて、感染予防着を脱ぎ捨て体を拭きまくった。
S状結腸軸捻転は緊急内視鏡が必要な代表的な疾患だ。少なくとも大腸については治療終了できて、内視鏡医冥利に尽きるのだが、患者さん本人は状態が悪いままで、結局当直帯に入って気管挿管と人工呼吸管理が必要になったそうだ。原因疾患は直しても患者はまだ危険なままというのは医療にはよくあることだ。それでも快復を信じて治療を続けるしかないのである。

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