私はまず最後の散布法を取り上げた。というのも私が一番評価していない方法で、過去にトロンビン液、アルギン酸ナトリウム粉末、フィブリノゲン液などの散布法があったが勢いよく出る出血にはほとんど効果がなく、気休めに過ぎないとすら思っていた。だからそれを最初に話してメインである残り3つの方法を具体的に話したのだ。
ただ、最近その薬剤散布法のひとつでペプチドハイドロゲル製剤というのが出てきて、商品名で「ピュアスタット」というのを一応紹介しておいた。吸収性局所止血剤と銘打ちすでに欧米では承認、使用が成っている製品だ。日本でも昨年12月に保険承認された。じわじわと出血する部位にどろっと振りかけるだけで数秒から10秒程度で出血が収まるという優れものだ。散布法嫌いの私でも購入して内視鏡室に保管しているが、まだ実際の使用例がなく紹介するだけにとどめた。
ところがである。発表が終わり質問コーナーになった。するとメインの止血法の質問もあったが、外科や脳外科のDrらは「ピュアスタット」に関する質問を矢継ぎ早にしてきた。現在消化管の内視鏡手技にのみ保険適用が認められているが、手術での出血に使えないかということなんだ。ほう、外科の先生たちも術野での出血に結構手こずっているんだ。私は「現在は内視鏡のみしか認められていないが、手術にも使えるかもしれない」とだけ答えた。それで、すぐに調べると、欧州では腹腔鏡の胆嚢摘出、心臓手術などには承認されていた。ただ脳外科手術は承認されていない。今後少なくとも外科分野には承認される可能性はある。
付け足しで発表したものが意外に関心を持たれる、発表が終わってそのことが強く印象に残った次第。あ、そうか。ピュアスタットって確かに病変に付け足すように処置する製剤だけにネ(笑)。
当方も本製品に興味があります。使用されたら是非、所感を教えてください!
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