2021年4月21日水曜日

外来にて:レア名字と超高齢男性

 昨日に引き続き、外来からのネタ。

西別当さんという患者さんは定期受診している人だが、今日は「この名字は結構珍しいですよね」と話を向けてみた。普通は「ええ」くらいで終わる人が多い。しかし西別当さんは珍しくも「全国でも100軒くらいしかないんですよ」とご自分で調べた結果を話してくれた。ほほう。「東別当という名字はあるんですか?」には「いや、ないですね」と即答で、実際にこの手の権威サイトでもある「名字由来net」では、全国順位は35622位、全国人数はおよそ80人と出ていて、東別当さんはいないとあり、かなり正確に知っているお方だった。

鹿児島は普通の名字に西や東、上や中や下が付くパターンが多い。昔、父の知人に東垂水さんがいたが同じ地域(知覧町)には西垂水さんもいたらしい。しかし西はあるが東はない、逆に東はあるが西はないケースもある。超レア名字で東麻生原(全国順位61918位の約20人)さんがいて「では西麻生原さんは?」には「たぶんいない」とのことで「名字由来net」にも出てこなかった。しかし東麻生原はすごい名字だ。「東」さんや「麻生」さんや「生原」さんが混じっている。あんまし言ってはいけないが「麻〇」さんもいる。「銀行の書類を書くときに苦労したことがあります」と言っていたのは「ヒカ゛シアソウハ゛ラ」と10文字も入力しなくてはならず枠が足りなくなったそうだ。「おそらく一番多く枠を取る名字」とのことだった。

田平は普通の名字で長崎が起源と言われているが、上田平、下田平は鹿児島に多い。その下田平さん、私たちの麻雀仲間ではしょっちゅう話題になる。麻雀は選択のゲームだ。どの牌を切るか、与えられた条件でどっちを切るかは指運次第の場面も多い。そして結果的に間違った選択をした場合、話題の主をつぶやく。

「あ、ちょいと下田平・・」(笑)

午後の救急外来に来た高齢男性は農作業中にふらっとなって倒れ、腕を怪我していた。幸い簡単な処置だけで帰宅OKだった。で、昨日の99歳御婦人に続いて驚いたのが御年96歳だったこと。杖もつかずにしっかり歩いていた。農作業していたというからせいぜい80歳代かと最初は思っていたよ。腰も曲がっておらず、そりゃ農作業もできるかもと思った。

聞けば、「大東亜戦争にも出征した」そうで、行き先は朝鮮はソウルの龍山(本人は「りゅうざん」と言われたが正式には「ヨンサン」、日本軍の基地があった)だったと。南方戦線へ仲間は行ったが自分は教育係などを任され3回の戦線派遣には選ばれなかった。「行きたかったですよ」と本人はその時の思いを正直に語るも、行けばかなりの確率で戦死していたはず。令和の時代になって農作業をやっているとは草葉の陰の戦友たちは誰も思いもしないだろう。南方に行かなかったことがどれだけ幸せだったか。亡き戦友のためにもまだまだ長生きして欲しいと思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿