♪He’s a real nowhere Man
Sitting in his Nowhere Land
この部分だ。ビートルズファンなら誰も知っているし誰もが歌えるはず。私は特に気に入っていてしょっちゅう口ずさむ愛唱歌でもある。ちなみにビートルズの楽曲で好きな曲3曲挙げろと言われたら「ヘイジュード(HeyJude)」「抱きしめたい(I Want to Hold Your Hand)」とこの曲を挙げる。
しかし今はネット時代だ。キーワードを入れてググればなんらかの手がかりがつかめる。それで日曜の今日、ふと入力してみた。「ノーウェアマン 唱歌」でやってみると・・なんと、あっさりと見つかったのだ。2018年に誰かがネット上で質問をしていた。「ビートルズの「Nowhere Man」に激似の童謡を知りませんか?」と。似たような人はいるものだわ。さらにこの人は「(その曲は) 昔の童謡で、歌詞は お日さま昇る 燃えたつ緑 真鯉が泳ぐ 緋鯉が泳ぐ です」とかなり具体的に尋ねていた。これなら簡単に見つかる。
ベストアンサーは「作詞者不詳、井上武士さん作曲の『こいのぼり』ですね。 1942年(昭和17年)に音楽の教科書に載ったようです」とあった。ここでハタと思い至った。井上武士という作曲家はおそらくほとんどの人が知らないだろうが、私は知っていた。というのも文部省唱歌の作曲家で、代表作は「うみ」と「チューリップ」とすぐに出てくる。私は唱歌オタクでもあるのだ。「うみ」は小学1年生向けに作られた「♪うみはひろいな おおきいな」の方で、「チューリップ」は誰もが知っている「♪さいたさいたチューップの花がー」だ。この他にも「虫のこえ」も有名だ。
しかし「こいのぼり」という曲は今でも教科書に載っている「♪いらかの波と雲の波〜」や「♪屋根より高いこいのぼり」の2曲が有名で、この「こいのぼり」はすっかり忘れられている。唱歌オタクの私が知らなかったのも戦時中の昭和17年の国民学校用の教科書が初出で戦後10数年くらいまでしか載らなかったためと思われる。しかも前2曲の方が有名だったために私が小学生になったころ以降は顧みられなくなり、初めて聴いたのが平成に入ってからでまさにこいのぼりの時期だったというわけ。唱歌のレコードはたくさん持っているがこの曲が収録されたものは知らない。「こいのぼり」というタイトルの童謡、唱歌は実はたくさん作られていてそのことを亀岡弘志さんというひとが2012年にネットで詳しく書いてあるので参考にしてみてー。それによると昭和35年の小学2年生向け音楽の教科書にはまだ載っていたようだ。http://asahi-lirio.org/chorus/zatsu/zatsu3.pdf
しかしこの2曲の出だしは本当にそっくりだ。まずは唱歌の方から「こいのぼり」3曲が続けて聴ける→https://ameblo.jp/yumering248/entry-12373620273.html
次はご存じ「ノーウェアマン」→https://lyriclist.mrshll129.com/beatles-nowhere-man/
井上武士「こいのぼり」は出だしはノーウェアマンだからいいけど後半が弱いな。やはり他のこいのぼり2曲の方が出来がいい。ビートルズの「ノーウェアマン」は知っている人も多いと思うがジョン・レノンの作曲だ。ジョン・レノンは1940年生まれ、「ノーウェアマン」は1965年発表で、1942年発表の日本の「こいのぼり」の方がずっと先だ。ネット上で「ジョンはこれをパクったのか」なんて冗談を言っている人もいたが、まあ単なる偶然だろう。
しかし私は思った。なぜその曲をあなたは好きなのかと問われても普通は「好きだから」としか答えられないものだが、「ノーウェアマン」をなぜ好きなのかについては唱歌とビートルズが大好きな自分にとっては必然だったのだと。
長年の疑問が解けて今日はとってもいい日だった。そろそろこいのぼりの季節だ。「ノーウェアマン」だけでなく井上武士の「こいのぼり」も歌ってみよう。
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