2014年1月17日金曜日

与太記事にダマされるな!

私のよく行くサイトに楽天Infoseekがある。年末のことだがそこにとんでもない与太記事が載っていた。Yahooとは違う切り口で面白記事が多いのはいいけれどこんな記事を検証もなしに紹介していてはちょっとまずいんじゃないのと思った。公正を期すため全文を以下に紹介しよう。この日記の読者でも相当数が信じてしまうのではないかと思われる。

「身体だけでなく心にも悪影響を及ぼす「シュガーレスガム」の恐怖- WooRis(2013年12月23日19時00分)

皆さん、ガムは食べますか? ガムはリフレッシュや心を落ち着かせるために、手軽に食べられるところが魅力ですよね。しかし、食べすぎはかなり危険かもしれません。ここ数年では、カロリー制限という言葉ができ、店頭に並ぶのはほぼシュガーレスガムです。実はこのシュガーレスガムが、身体だけでなくメンタルにも悪影響を及ぼすのです。小さいからと手軽に摂取し、何個も食べてしまいますが、このシュガーレスガムに含まれる毒素が気付かないうちに、身体に次々と蓄積されていきます。シュガーレスガムの心身に及ぼす悪影響とは、消化不良、便秘、下痢、うつ病、発がん性、自閉症等と深刻な問題になっています。

それではシュガーレスガムが一体なぜ危険なのか、アメリカの健康サイト『Mind body Green』を元にご紹介します。

■シュガーレスガムは毒素の固まり?

シュガーレスガムには、スクラロースとアスパルテームという、2種類の人口甘味料が含まれています。この2つの人口甘味料は心身に悪影響を及ぼします。

(1)スクラロース

スクラロースは、発がん性や肝臓への毒性、先天性欠損症を引き起こすことが知られており、さらに免疫系に悪い影響を与えます。

(2)アスパルテーム

アスパルテームは、体の中でメタノールを放出する強力な神経毒です。メタノールはギ酸とホルムアルデヒド(防腐剤)という、2つの有毒化合物に体内で分解されるので、大変危険です。それによって、消化問題、片頭痛、うつ病、糖尿病が引き起こされる可能性があります。

■シュガーレスガムで太る?

スクラロースやアスパルテーム、さらに他のノーカロリー甘味料などは、ダイエット食品と考えられていますが、実は体重減少どころか、これらの化学物質は食欲を促進します。
多くのマウスを使った研究でも、人口甘味料で太るという結果も出ているくらいです。

■シュガーレスガムで便秘や下痢に?

アスパルテームは、腸の中にあるマイクロフローラという良い微生物を抑制し、身体に悪影響を及ぼす悪い微生物を増加させます。それによって、消化問題や免疫を悪化させます。
また、シュガーレスガムは、噛むことで空気を含みお腹にガスを溜めこむだけではなく、人口甘味料によってさらにお腹を膨れさせるので、便秘や下痢等の症状を引き起こし、腸に悪影響を与えてしまいます。

いかがでしたか? 皆さん、人口甘味料が身体に悪いのは知っていると思います。しかし、ガムのように小さく、一見、体内に影響を与えなさそうな食べ物が盲点となっていたのですね。多量に摂取してる人は、少し控えてみてくださいね。」

↑以上(青文字)は、今読み返しても無知につけ込んだ作為的な内容だと腹が立ってくる。

まずスクラロースだが、1976年にイギリスでテイト&ライル社 (Tate&Lyle PLC) により砂糖を基に開発され、日本では1999年7月30日に食品添加物に指定され使用基準及び成分規格が定められている。砂糖の600倍の甘さを持つが、砂糖のように体内で炭水化物として消化、吸収はされないため、生理的熱量はゼロである。スクラロースを摂取しても、24時間後にほぼ100%が代謝・分解されることなく排泄されるため血糖値やインスリン値にも影響を与えず浸透性は22osm/kg(1%水溶液)、親水性であり生物サイクルで蓄積される可能性はきわめて小さい。

アスパルテームは1965年にアメリカ合衆国のサール薬品がガストリンの合成研究中に強い甘味を発見したことを発端として、その研究・開発が進められ、現在の製法を開発したのは日本の味の素株式会社で日本およびアメリカでは1983年に使用が認可されている。その中でも日本生活協同組合連合会などは安全性への懸念などからアスパルテームを含む食品の取り扱いを行ってこなかったが、2002年3月に留意使用添加物から除外することに決め、取り扱い制限を解除した。つまりは公的機関はスクラロース、アスパルテーム両者とも安全であると定めきちんと認可しているのだ。

でもこの与太記事では「消化不良、便秘、下痢、うつ病、発がん性、自閉症等」起こすともっともらしく書いてあるのはなぜか。これはアスパルテームが「ヒトやサルの腸においてメタノール、アスパラギン酸、およびフェニルアラニンに代謝され、吸収された後に体内たんぱく質に併合されたり二酸化炭素として排出されることが報告されている」という些細な事実に目を付けた極めて作為的な主張なのだ。「神経毒でギ酸とホルムアルデヒド(防腐剤)という2つの有毒化合物に体内で分解される」のはメタノールのことなのにこの紹介文ではあたかもアスパルテームがそうであるかのような書き方になっている。正しくは「メタノールは失明や致死などの人体への毒性が知られているが、果物や野菜や酒類にも含まれるなど、量によっては無視しうるものである。アスパルテームの代謝で摂取することになるメタノールはトマトや柑橘類のジュースから摂取する量よりも少なく、問題にならない量であることがわかっている」のだ。実際には代謝で出来た微量のメタノールはタンパク併合や二酸化炭素排出でほとんど無毒化されアスパルテームでもトマト、オレンジジュースでもそんな毒性を及ぼすことはありえない。それが飲料よりも少ない添加物のシュガーレスガムで健康が阻害されるとは笑止千万なのだが元記事を書いた人はきっとそうは思ってはいないのだろう。

20年近く前「買ってはいけない」という与太本がベストセラーになったがこの手の記事を書く人には「人工物や添加物は体に良くない」という凝り固まった信念のようなものがあって重箱の隅をつつくように些細なアラを見つけては「ほら、だから体に良くないですよ」と主張するのがお決まりのパターンだ。人の話を単純に信じやすい人や根底のところで自分に自信のない人はその論法をありがたがる傾向があるので要注意だ。この手の論者はたいてい「そんな人工物よりも『太陽のめぐみをぎゅっと濃縮した100%天然』のこの製品をお試し下さい」と有難い健康食品を売ろうとしているからネ。

私は丸5年、スクラロースやアスパルテーム、ほかフェニルアラニンがたっぷり入ったゼロコーラを毎日飲み続けているが痩せたことはあっても特に病気になったということはない。「コーラは依存症になるんじゃないの」と気にする人がいるがそれは全くない。例えばこの前の学会行で丸4日間私はコーラを一滴も飲まなかっしそれでイライラすることもなかった。飲まなかった理由は日頃1.5Lペットボトル1本120円台で飲んでいるのに500cc1本だと100円以上もしてそれを買って飲むとはコストパフォーマンス重視(つまりはケチ?)の私にはとても考えられなかったからだ。

それでも気になるというなら無理に飲む必要はないだろうが、スクラロースは10年以上、アスパルテームは30年以上も添加物として使われ続けていまにだそのせいで健康被害が出たという報告がないということは大規模かつ長期試験を行って非常に安全だと証明されたようなものでどんな与太主張や実験結果よりもそれは確かな事実なのだ。

今、メディア、ネットなどで膨大な情報が洪水のごとく流されている。メディア・リテラシーという言葉があるがこれは「さまざまなメディアが伝える価値観・イデオロギーなどをうのみにせず、主体的に解読する力をつけること」を意味し、今回紹介したような与太記事に流され「うわー、シュガーレスガムって怖いのね」などとは思わず、冷静に判断し「そんな馬鹿なことがあるか」と一笑に付す態度のことをいうのである。(それってこてる先生のドヤ顔?!)

Yahooにはこの手の紹介記事はまず出てこない。影響力が大きいし記事そのものを厳選しているからと推測する。Infoseekは視点が面白いけれどこんな記事をたまに載せるとはちょっぴり気をつけないと。

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