で、どこかの駅に止まったのは分かっていた。「駅に芙蓉の木が植えられているなぁ、次が降りる駅かぁ」などとぼんやり眺め、また本に目を落とした。ゆっくり列車が動き始めた時に、あれ?と思った。もしやここは折口では。慌てて運転席に駆け寄り、「ここは折口・・ですかっ」と尋ねると、運転手はハンドルの手をゆるめ「そうですが」、私「あ、ここで降りるんですっ!」と言うと、明らかに迷惑そうな表情だったが、列車は止めてくれ「そっちはダメ、こっちへ来て」と常用ドアは開けずに最後尾の運転席を開け、そこの勝手口から出なさいと誘導してくれた。ホームからずれている場所で常用ドアは開けてはいけない決まりなんだろう。「ほんとに済みません」と恐縮の限りで降りてホームに戻った。
いやー、冷や汗ものだった。もし10秒も遅れていたら果たして止めてくれたかどうか。そうなれば阿久根まで行く羽目になり、また戻ってくるか、田久さんに来てもらうか。いずれにせよクリニックへの到着はかなり遅れ、迷惑を掛けただろう。それもこれも本に夢中になっていたからだ。こんなことは初めてだった。迎えた田久さんも「あれ、降りてこない、おかしい」と思っていたとか。
事情を話した後で、私はこう呟(つぶや)いた。
「止まった駅が折口とは違うと勘違いしていた。さらに列車から出るときも普段とは降り口が違っていた(^ ^;)」
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