2017年9月30日土曜日

送り、送られ

土曜は朝から外来で午後から翌朝まで日当直という久々の仕事パターンだ。ここ最近は土曜夜は院外のDrが当直に来てくれているが今日は第5週のため院内Dr担当だった。そんな日直の冒頭、意識消失の超高齢男性が救急車で運ばれて来た。トイレで急に意識がなくなり倒れたという。ただ、運ばれて来た時には意識はしっかりしていた。このエピソードから第一印象は「神経調節性失神(反射性失神)」だった。血管迷走神経反射による失神でよくみられる病態だ。それならばとくにどうってことはなくせいぜい点滴でもして帰宅させようと思ったのだが・・。心電図をみると完全房室ブロックと取れる波形でまじかと思った。こうなるとペースメーカーの装着も考慮せねばならない。でもさっきも書いたが超高齢なんである。聞けば驚いたことに独居で日常生活は一人でこなしているとか。どうすべきか判断に困って循環器のアミヤンDrに電話して尋ねた。すると「寝たきりならもう何もしないがその場合ならたとえ超高齢でもペースメーカーの適応になる」とのこと。家族にも打診すると「お願い致します」だ。ならばと鹿児島市内のカイリョー病院に電話し引き受けてもらうことになった。当然救急車での搬送だ。紹介状書いて今日のオンコール看護師はタッピーNsで彼女に付き添わせて行ってもらった。

今度は夕方、国分説教病院から診察依頼の電話があった。けいれん発作で運ばれて来た超高齢男性患者の件でという。てんかん持ちの患者で本来は近隣の脳外科もある病院にかかりつけなんだがそこが緊急手術のため対応出来ない、そこでうちに初診で運ばれて来た、もしかすると脳血管障害かもしれないと頭部CTを撮ったが所見はない、しかし脳梗塞発症の可能性がありMRI撮影で診断してもらえないかというものだった。確かに脳梗塞初期はCTでは写らずMRIで判明することはよくある。受け入れてもいいが少し問題があった。まず診断を下す脳外科Drが一人は休みで今県外にていてオンコールのDrは院外だ、そこは画像転送システムでスマホに送って判断ということになる。もう一つは脳梗塞でなかった場合はどうするかでその場合は説教病院がまた引き受けるとのことだった。それで運ばれて来るのを待っていたが、直前情報で何と気管挿管する羽目になったという。もし人工呼吸をしているのならMRIは無理だ。到着後、確認すると自発呼吸だった。しかしけいれん発作がまた出ている。というより、これ普通のてんかん発作でしょ、(脳梗塞は)考えすぎと思うよ。鎮静をかけ、治まった頃合いをみてMRI撮影をどうにか終えることができた。結果、私の素人読影では脳梗塞はない。その画像をポンシンDrに送り返事を待った。やはり私の診断と同じでもともとの持病の発作と考えられた。結局、またタッピーNsを呼んで救急車頼んで国分へ搬送してもらった。

ふう、やれやれと思って診察室に戻ると、昼過ぎにカイリョー病院に送った超高齢男性患者の返書がもう届いていた。「房室ブロックはなく(単なる)洞性徐脈で心疾患もなく神経調節性失神と考えられ自宅へ帰りました」とさ。うわわ。向こうの先生、単なる失神なのに青雲会病院のこの「こてる」って先生、心配しすぎやろ、と思ったに違いない。(‾□‾;)

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