2019年3月22日金曜日

放射線被爆妄想患者

外来に何年ぶりか、印象深い患者がまた来た。過去にもこてる日記でネタにしたことがある「放射線被爆妄想」の患者である。カルテをひもとくと最初は2008年、次が2012年でともに私が診察し、そして去年はキブンDrが診ていた。訴えはいずれも大学の実験で放射線能を浴びた、そのせいで云々・・。10年以上経っても全く同じことを訴え続け、その間精神科に入院してもやはり変わることがない。呆れるばかりだ。

私も三度目なので訴えの矛盾点を指摘ししっかりカルテに記載した。放射線の強さが40シーベルトだったと主張し「そのせいで顔が赤くなり・・」という。あり得ない。人間は4シーベルトで50%が死に7シーベルトで99%が死ぬ。40シーベルトなら・・ほぼ即死である。CTでの線量は10ミリシーベルトくらいで桁が全く違う。実験レベルの放射線ならマイクロシーベルトくらいじゃないか。勘違いを思い込んでいる。とにかくいくら言っても訂正できない。私はUFO信者(空飛ぶ円盤がいて宇宙人が実際に地球に来たと信じて疑わない)と同じと思った。統合失調症にも似るがやや違う。ある種性格のゆがみ、思考回路のゆがみと頑固さを感じる。

今日は夕方の診察時間、他の患者が少なく少し余裕があったので今後のことも考え、「そもそも発端の大学の検査機器がどのくらいの放射線発生量だったかを大学側に文書でただすべきだ。そこが曖昧のままではいくら話しても先へ進めない」と一応アドバイスした。患者は「これは大きな問題になるから、教授も隠蔽しようとして正しくは教えてくれないかも」とこれまたUFO信者と同じような発想(政府は宇宙人がいるということを隠蔽している)をしていた。UFO信者はオカルト信者でもある。オカルト信者を医療で治そうとしても無理な相談だ。後から思えば無駄な時間を過ごした気がしてならなかった。

(この日の夜は串木野でトリオリーグがあったが、それはまた明日書くことにする)

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