2017年7月8日土曜日

血小板3万患者を診る

先週に引き続き、土曜午前は外来勤務だった。患者数はどれほどでもなかったが急患、紹介患者がいて忙しかった。その中でも嘔気、呼吸困難、咳で受診した70才代男性には悩んだ。その患者は日頃はサンキュー病院のかかりつけで肺癌の手術歴もあり症状が数週間前からあったため昨日そこの診察を受けたばかりだった。しかし採血やレントゲン検査を受けるも「たいしたことはない」と言われたのだが昨晩は苦しくて身の置きどころがないほどだった。それで青雲会病院に来たというわけだ。

胸部CT、採血を指示し他の診療の間、結果を待った。胸部CTではひどい肺気腫があるも癌の再発や肺炎などの所見はない。で、採血結果をみてあれ?と思った。それほど目立つ異常がない中で血小板が3万とかなり低かったのだ。正常値は13万以上だ。患者が言うには「確か5月の採血では血小板は20万はあった」と。当院の昨年11月の採血でも20万以上あり間違いではないと思われた。これは絶対におかしい。この人の体の中で大きな異変が生じている。外科のキブンDrとも相談し「肺血栓か何か起きているのでは」と推測した。それで胸の造影CTを指示した。その間は入院になった患者の指示出しなどでバタバタしていた。

12時半になり他の患者の案件がだいたい片付いたころに造影CTの画像を見た。ううむ、よく分からない。そもそも私は肺血栓の診断を自ら下したことがないのだ。専門外ということもある。だからといってこのまま帰宅させたりはできない。入院させても診断が付かないと治療方針が定まらずどうにもならない。どこかの病院に紹介するにしても血小板が低いだけでは相手も困るだろう。この時点が一番ストレスを感じた。ほっとけない患者なのに方針が決まらないのだ。

そこで放射線科の遠隔読影を頼むことにした。いつもの1日後に結果が届く通常読影ではなく緊急読影依頼にした。これなら1時間と少し待てば結果が届く。すでに13時を過ぎていてとりあえず医局に戻りカール弁当を食べた。お腹も空いていたんだ。ふうー。14時過ぎたころ、外来から「放射線読影の結果が届いています」との連絡があり待ってましたと下に降りた。結果は「肺動脈の右上葉枝に肺塞栓血栓症を認める」とのことだ。よしっ。当院でも治療は出来るが私は治療経験ないのと土日に専門外のDrが治療するわけにもいかないので紹介病院をあたることにした。結局鹿児島市の天妖怪病院が快く受けてくれ救急車で転送した。

直接の治療はしなかったけれど、患者さんがえらく私に感謝してくれたのがうれしかった。私自身は結構冷や冷やだったんだけどね。病院を代えてまでも体の異変を訴え、それに誠実に応え手間はかかりながらもどうにか結論を出してあげたからだと思う。帰途に就いたのはとうに午後を過ぎていたけれど頑張って良かった・・。

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