2015年4月4日土曜日

莞爾さんの由来

外来患者で「xx莞爾」さんという初老の人が診察に来た。終わりかけて私は名前の由来を尋ねた。「xxさん、昭和19年生まれでその莞爾(かんじ)という名前は陸軍軍人の石原莞爾から取ったのではないですか」すると案の定「ええ、そう聞いています」との返事だった。ただ元になった石原莞爾のことはほとんど知っていないようで私がおおよその経歴を教えてあげた。満州事変の首謀者の一人であり天才肌の軍人で東条英機とは犬猿の仲なのも有名である。昭和19年には東条との対立から予備役に回され引退同然になっていたが男児にふさわしい名と当時の親は考えたのだろう。そもそも莞爾とは莞爾として笑うなどにっこりとする様をいうので意味も悪くない。

同じ頃「五十六」と名付けられた人も青雲会病院の患者にいるので当時は軍人の名にちなんだケースが多かったということだ。もろ「軍蔵」という名前もありこれは戦後はちょっとかわいそうだったろうな。親は時代の変遷もよーく考えて名付けるようにしないといけない。最近のキラキラネームの代表、ゲームから取った「光宙(ぴかちゅう)」アニメから取った「黄熊(ぷう)」「今鹿(なうしか)」って名前は馬鹿にされるかいじめられるかだぞ。名前は一生もんってことを忘れないようにしなくちゃ。

追記だが、日経新聞のコラムによると、20年ほど前にキラキラネームを付けられた若者が社会的に不利な状況打破のため改名を希望するのだがその手続きは面倒だ、そのための代行業者もネットでは現れているらしいとのことだ。名付けは自由だけれど親の勝手気ままに任せるのを申請時にある程度忠告するなどの制度もあっていいのではないかと思う。子どもは親のものだけではなく社会の一員でもあるのだから。

0 件のコメント:

コメントを投稿