今週も土曜外来でしかも午後も居残り日直だった。朝、70才代男性で下血の患者がいるとの報告があった。名前を聞いて愕然、以前大腸憩室出血で散々苦労した人だった。この人、S状結腸や横行結腸が長く、奥にある上行結腸まで到達するのが難しい、ところが大腸憩室がその上行結腸にあるため観察も止血処置も困難を極めるのだ。何度も憩室出血を起こし、ある時など私の目の前で出血性ショックでぶっ倒れたりもした。ただ7年前にどうにか止血に成功してからはパタッと下血では来なくなりやれやれと思っていた。今回の症状を聴くと新鮮な下血だからまた憩室出血に違いない。以前とは別の憩室から出血したのだろう。午前は外来患者診察があるから12時以降に大腸内視鏡やな、はあ。
私は救急PHS当番でもあり、午前10時過ぎだったか、「熱中症疑いの人が会社の人の車で運ばれて来ています」との報告があった。69才の男性で朝6時くらいから草刈りをして大汗もかいているという。この時期のいつものパターンの患者さんだろうと思ったが、看護師らの報告で「胸も痛がっています」と聞き、点滴採血の他、心電図の指示も出した。するとー。心電図波形がおかしいとのことで見に行くと、明かにST上昇があり急性心筋梗塞だと思った。部位は前壁梗塞か。今朝は昨日までと違い曇り空で極端に暑いわけではない。しかも早朝、大汗をかくのは暑さのせいだけではなく、心筋梗塞による発汗と考えられるのではないか。採血の結果を待つ時間が惜しいので鹿児島市内の循環器専門のある病院に連絡をした。最初に電話した点妖怪病院が受け入れOKですぐに紹介状を書き転送のための救急車を要請した。付き添いで救急車同乗するのはチュンジョー君。4月に「よう眠る病院」からうちに来たばかりで救急車同乗は初めてなんじゃないか。いくつか症状悪化時の対応を教え見送った。
午前外来が一段落し大腸内視鏡に入った。案の定挿入は難しく、盲腸まで5分もかからないのが普通なのに20分近くかかった。で、やはり上行結腸に出血の痕跡が確認できたが、どの憩室から出血しているかはついに分からなかった。出血源を見つけるのが得意なはずの私も少々あきらめが早かった。入院の上、絶食点滴で安静にするしかなさそうだ。
心筋梗塞で送った人はFaxが届き、やはり左前下行枝の完全閉塞で拡張ステントを入れる治療をしたそうだ。ふう、よかった。そのまま点滴だけで経過をみていれば最悪死ぬ可能性すらあるケースだった。思い込みで熱中症と決めつけてはいけないナ。
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