乱歩の「幽霊塔」は少しずつ読み進めている。昭和10年代の作品で少し読みにくい言葉があるものの乱歩物は読みやすい。ただ、中学生のころのワクワク、ドキドキした気分はほとんど湧いてこない。序盤は幽霊塔や登場人物にまつわる謎の提示が多すぎでもやもやするが話の展開はスピーディーでいい。主人公が美女に恋して許嫁を邪険に扱うことやその許嫁が首なし死体で見つかるのはいかにも昔風の探偵物だ。首なし死体のケースは横溝正史によれば「ほとんどが死んだと思われた被害者ことが真犯人」と自らの小説の中で論じているくらいで他の有名ミステリーでも類例がある。今回もそうかなと思いきやすぐに被害者は別人と判明した。ただし許嫁の行方は分からない。その後、やや無鉄砲な主人公は怪しい人物の後を付けて窮地に陥って・・
うーん、少し面白くなってきたが、やはり読むべき時期に読んでいてよかった類いの小説だな。真に面白い小説は年齢を重ねてもその時々で面白さを感じるという。ミステリーはやや一般小説に比べ分が悪いが、アガサ・クリスティーの作品は大正から昭和前半に書かれた古いものだけれど今読んでも結構面白い。乱歩も「人間椅子」「押し絵と旅する男」など全く古びていない作品もあるからそれなりの力量はある。「少年探偵団」シリーズも少年向けとしてみれば大したものだ。横溝正史も知られてはいないが実は少年向けを書いているけれど乱歩には全くかなわない。本格推理小説家としては横溝が上だろうが一風変わった味わいのある小説家としては乱歩に軍配が上がるかも。いずれが残るか、年月が経ってみないと分からない。どんな批評や売り上げよりも経過した時間の評価にはかなわないものだ。
おっと今夜はそろそろ寝なければ。明けて午前3時からは日本対ベルギー戦がある。ブラジル対メキシコ戦も見たいが日本戦が大事だし・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿