2014年10月4日土曜日

「オールド・ラング・ザイン」

NHK朝ドラ「マッサン」で主人公はスコットランドから妻エリーを連れてくる。現代でも国際結婚は大変なのに大正時代のことだからいかに苦労したかが偲ばれる。見ていてスケールは小さいが沖縄から鹿児島へ嫁に来たカールのことを連想した。異郷の地に結婚しにいくのは勇気がいる。周りは知らない人だらけで風習も違う。彼女の決断がなければ私も結婚には至らなかっただろうし、エリーも同様だったはずだ。そんなエリーの心情を推し量るようにドラマではスコットランド民謡が効果的に使われている。日本では「蛍の光」で知られる(というより日本の歌じゃなかったのと勘違いしている人が多い)「Auld Lang Syne」や「故郷の空」または「誰かさんと誰かさん」などで知られる「Comin' Thro' the Rye」などだ。ヨナ抜き音階で日本古来の歌と似ているため明治時代に翻案され広く歌われた。今日はエリーが英語で「Auld Lang Syne」を「♪Should auld acquaintance be forgot・・」と歌っていたのでこの歌のことを少し調べてみた。作曲者は民謡ゆえ不明だが作詞者は18世紀のスコットランドの詩人のロバート・バーンズである。Auld Lang Syne はスコットランド語で英訳すると逐語訳ではold long since、意訳ではtimes gone byとなり、日本では「久しき昔」などと訳すそうだ。

そんな知識を仕入れ、朝の外来をしていると、この前退院したスコット・バーンズさんが来ていた。体調もいいし結構なことで、診療はおいとき、「バーンズさん、あなたはアメリカ人とのことですが先祖はスコットランドからの移民なんですか」と尋ねた。すると「そうです」と答えるではないか。やはり、バーンズといえばそうなんだ。となればアメリカの有名なプロボウラー、クリス・バーンズもスコットランド系なんだろう。そしてAuld Lang Syneを話題にすると、日本語にも堪能なバーンズさんはこの歌の使われかたが本国とは違うことも指摘した。向こうでは大晦日から新年にかけてみんなと手をつなぎながら歌う定番の歌であるという。日本では年末でも使われるが閉店や卒業時期にもよく出てきて最初はびっくりしたそうだ。私が朝ドラに最近よく出てきますよとあやふやな英語で歌い出すと「おお」と言って「シュッ、オールァクィンタンスビーフォゴッ・・」と歌い出した。私もいっしょに歌いたいがメロディはともかく歌詞をはっきりとは覚えていない。ただし最後の「Auld Lang Syne」は知っていたのでいっしょに歌った。でも彼は最後のSyneをザインと濁って発音していた。私は「サインと発音しないのですか」と尋ねると「いいえザインです」とのことだ。Wikipediaなどでは「オールド・ラング・サイン」と書かれてあるが本当はどっちなんだ。それでYouTubeでこの曲を歌っているのを片っ端から聴いてみた。結論からいうとバーンズさんの言うとおりでほとんどすべて「ザイン」と発音していた。もともと好きな歌なのでiTunesであのSusan Boyleのをダウンロードした。スコットランド出身の彼女も当然最後は「~ザイン」と歌っていた。

「Auld Lang Syne(オールド・ラング・ザイン)」・・単純なメロディであるが300年以上経ってもそして各国でも歌われている。まさに不滅の名曲、今後も歌われ続けることだろう。

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