2025年5月24日土曜日

ChatGPTの言うとおりに事が運ぶ

今日の土曜午前は病院外来勤務、午後は日直だった。

割に余裕のある日でゆったりと外来をこなしていった。そのゆったりが急に慌ただしくなったのは昼前に「嘔吐して血が何度も出た」という中年男性が受診したからだ。問診でどんな経緯かを尋ねると・・「昨夜飲食をしてアルコールもしこたま飲んだ。嘔吐を何度もして4度目くらいから血が混じるようになった」とのことだった。

これはもう問診だけでほぼ診断が付く。マロリーワイス症候群(Mallory-Weiss症候群)である。AIのChatGPTに尋ねてみよう。

マロリーワイス症候群(Mallory-Weiss症候群)は、食道と胃の接合部(食道胃接合部)に生じる粘膜の裂傷によって、出血を引き起こす疾患です。主に激しい嘔吐や嘔気の後に発症します。
原因:繰り返しの嘔吐・激しい咳・過度のアルコール摂取
好発部位 :食道下部から胃の噴門部(胃の入り口)
症状 :吐血(鮮紅色)、下血(稀)、上腹部痛、貧血症状
診断 :上部消化管内視鏡(胃カメラ)で裂傷を確認
治療 :多くは保存的治療で改善。出血が止まらない場合は内視鏡的止血(クリッピング、硬化療法など)
予後:一般に良好。再発はまれだが、原因の除去が重要
発症メカニズム:嘔吐や咳などにより腹圧が急激に上昇 → 食道と胃の接合部に機械的ストレスがかかる → 粘膜が裂けて出血

最近の青雲会病院では土日の緊急内視鏡は行わないという方針だ。これは御多分に漏れずスタッフ不足の影響である。ムッちゃんNsやシホねえNs、佳及Nsがいたころは吐血下血患者の緊急内視鏡をちょくちょくやっていた。で、今日は私と内視鏡室関係の看護師が花ゆりNs、五月鍋Nsと二人いた。時間も終業時間までまだ1時間以上ある。おまけにもう一人の外来内科系Dr勤務がタクミDrだった。私が外来をしなくてもどうにかこなせる。そこで「よし、緊急内視鏡をやる」となったのだ。

結果は予想通りマロリーワイス症候群で、食道と噴門の境界部に大きく2ヶ所に粘膜裂創があり現にじわじわと出血していた。まさにChatGPTが解説しているとおりで、治療も「出血が止まらない場合」に相当し、そこをクリップを何個も掛けて縫縮し止血した。程度が軽ければそのまま帰宅させることもあるが、この患者さんには「数日は入院しましょう。絶食点滴で過ごした方が安全です」と説明した。せっかく掛けたクリップが食事摂取で外れたらまた出血してしまうかも。

マロリーワイス症候群の治療の流れ:
安静・絶食(まずは胃腸を休ませる)
輸液・補液(出血による循環維持のため)
内視鏡的止血(必要に応じて)
PPI(プロトンポンプ阻害薬)投与(胃酸による再損傷予防)

私は事前にAIなど参考にしていない。日記を書く際にChatGPTは何て言っているのだろうと試しに聞いてみただけだが、「治療の流れ」などまさにそのとおりに事は運んだのであった。現在は2日後にあたり、再度内視鏡で確認し、しっかり血は止まっており、食事を開始しさせ近々退院予定である。画像をデジカメに撮っておけばよかった。そこは残念。代わりに似たような画像をネットから補充しておきましょう。

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