2010年9月16日木曜日

運命の子猫

結局は飼えない運命の子猫、それがゲンちゃんだ、仕方なかったのだと思いつつもカールは大丈夫だろうかと気にかけていた。

いなくなって丸1日も過ぎ、夕方そろそろ子どもや夫が帰ってくるころ、ピンポンとチャイムが鳴った。出てみると、一昨日テルにゲンちゃんを預けた友だちユンバー君だった。なんとゲンちゃんを抱っこしているではないか。

「(スーパーの)ええコープにこの子猫がいたんです。この前テルに預けた猫に似ているのでそうかなと思って・・」確信は持てないようであったがテルから行方不明と聞いていたのでそうかもしれないと思っていたようだ。

わー、ゲンちゃんだとカールは嬉しかった。でも「うちでは飼えないのよ。セージが猫の毛にアレルギーが出て痒がるの」と断らざるを得ない。ただそう言いつつも抱っこしてなかなかユンバー君に渡そうとはしなかった。彼も自分の家には犬がいて飼うことはできないと言う。結局「動物病院にでも預けてみます」と言って持ち帰ってもらった。


私はゲンちゃんが無事であったことにほっとし、たまたまユンバー君が見つけ連れてきた偶然に驚き、それでもサヨナラしたことにかわいそうな気がした。カールもアイロンがけしている最中も「ゲンちゃんどうしているかなぁ」と幾度となくつぶやいていた。

夕食済ませたチッチは天秤座公園に運動会の練習に出かけた。100m走のクラス代表選手に選ばれているけど陸上部の連中など速いライバルが多くみじめな結果に終わりたくないからだとか。運動会やロードレース大会前は他の友だちも公園に練習に来るらしい。

私は床でゴロ寝しカールはアイロンを続けていた。うとうとして30分くらいは経ったろうか。突然、何か騒がしくなったと思ったら私の顔面近くに子猫が飛び込んできた。「ほらパパ、ゲンちゃんだよ」とチッチの声。うわっ!

何と何と、チッチは走りの練習が終わったころ、友だち連中が集まってワイワイしていたので覗いてみると、そこにいたのは何とゲンちゃんでみんなにいじられていた。「あ、これうちにいた猫だ」と言ってもみんな疑惑の眼差しだったらしいが、チッチはこれはもう連れ帰るしかないと思ってそうしたんだと。(ユンバー君、あとで聞けば動物病院は閉まっていて仕方ないからと天秤座公園に捨てたんだそうだ)


これでカールは腹を決めた。三度も捨てられいなくなってもうちに来たということはもう運命なんだわ、これは飼うしかない。セージの問題や世話を焼く面倒はあるがそうする運命なんだ。

私もそう突きつけられると仕方ないと思った。チッチが小さな煮干しをあげるとむさぼりつくように食べ、よほどお腹を空かしていたのだろう。時刻は午後9時過ぎでホームセンターの「ニシマタ」はまだ開いている。カールを乗せて猫用トイレやエサそのたひとまず飼うのに必要なものを買いに行かせた。私は何を買っていいか分からないので駐車場で待機だ。

何やかにやで5千円以上かかったらしい。魚のルアーのような猫じゃらしもどきや咬むだけでいい歯磨き、猫用シャンプー&リンス、のみ取り首輪もあり私にはへーえと感心するものばかりだ。

帰宅して早速チッチに風呂場でシャンプーをさせた。猫用タオルを決めカールが拭いてあげ、それから猫用エサを食べさせた。一応食べ始めるも先程の煮干しですでに満たされたのかあまり食べなかった。トイレに入れてあげるとそこでちゃんとウンコし砂利をかけ隠した。ふーん、ちゃんと出来るんだね。

その後はチッチやカールが抱っこしたり、私は写真を撮ったりで、猫かわいがりだ。そして首輪には連絡先を記入させた。また飛び出して行方不明になられては叶わない。

セージやテルも帰ってきてびっくりし、そして飼うことには異論はないようだった。ただセージはもっと格好いい名前はないのかと言っていたがもうゲンちゃんで決定だと突っぱねた。ギボヒサコも事態を受け入れ、運命の子猫ゲンちゃんは今日家族の仲間入りをした。

やがてゲンちゃんの動きが緩慢になり猫じゃらしにも興味を持たなくなり眠そうにしていた。そのうち本当に眼をつむりくるっとして寝てしまった。やはり相当疲れていたのだろう。捨てようとしていたおもちゃ入れのカゴがありそれを寝床にした。今、日付が変わりそこにすやすやと寝ている。ただ物音立てるとチラッと眼を覚ますがまた寝てしまう。安心して眠れるようにしてやりたいね。いやはや、それにしてもまさかこんな展開になろうとは・・。

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