内視鏡室で90歳代の高齢女性の胃瘻造設を行った。特に問題となるようなこともなくいつもどおり無事に10分ほどで造り終えた。この女性の娘さんは看護師で、食事をほとんど摂らなくなった母親のために自宅で点滴をするなどして頑張って来たが「もう限界で胃瘻造設をお願いしたい」と依頼してきた。これに対し「はいそうですか、では入院させて当院で造りましょう」とすぐには言えない。国が胃瘻造設にはあまり積極的ではなく、年間に造る件数を抑制しているからだ。一つの医療施設で年間50件を超えると報酬が減る仕組みを国は10年くらい前に設定した。従って、だいたい月に4件、12ヶ月で48件くらいになるように抑制しないといけない。
だから、院外からの胃瘻造設依頼は基本的には断っている。依頼されたまま最初からバンバン造っていくと、年末もしくは年度末に当院での胃瘻が必要な患者さんに造設できない羽目になる。青雲会病院には脳外科があり、脳梗塞などで片麻痺や嚥下困難な症状を持つ患者さんが比較的多い。そういった入院患者さんに胃瘻造設を行おうとしても出来なくなるケースを避けたいのだ。ただ、今年はなぜか9月から11月にかけて造設の依頼が少なく、受け入れ件数に少し余裕があった。
そんな看護師兼娘氏と話をしていると、なんと看護師さんの従妹が20年以上も前に医療事務をしていた西ヒナさんだと分かった。へーえ。彼女とは年賀状で10年くらい前までやり取りしていたはず。まだ独身だったと思うが・・すると「ええ、独身ですよ。父親が透析を受けていましたが数年前亡くなって、今は一人で実家に住んでネコを17匹飼っています」と従姉氏は言うではないか。「17匹も?」「保護ネコ活動をしているんですよ」だって。あんまりネコを飼うイメージはなかったが、一人でいるのはやっぱりさみしいのだろうか。
彼女、結婚したくても結婚できなかったタイプの女性ではなかった。それとは逆で顔もスタイルも水準以上だった。私が青雲病院に来たころ、非常勤Drで元ミス日本の一人に選ばれた女医がいた。医学生時代あの藤原紀香とグランプリを争ったという逸材だ。ある時、その女医と西ヒナさんが並んで立つシーンがあった。ちょっとびっくりしたね。身長、体型、頭と手足の長さ、バランスなどほとんど負けていなかったのだ。お顔は確かにミス日本かなぁとは思ったがほとんど好みのレベルだった。とまあ、有り体に言えば彼女は「いい女」だったのだ。↓22年前の忘年会余興の時の彼女。
だが、そんな西ヒナさんを見ていて、私は「彼女、結婚はせず独身のままでいそう」との感想を持っていた。その頃ベストセラーになったエッセイストの酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」を読んだ時に真っ先に「負け犬」=「未婚、独身、子なしの女性を指す」を連想した女性は西ヒナさんだと浮かんだくらいだったしー。当時も今も、いい女ほど、結婚することが現状より生活レベルや人生の楽しさが上がるとは思えない日本の社会構造だからだ。それに彼女、なんていうか独身の気ままさや楽しさを満喫していたからな。
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