2020年11月13日金曜日

6年越しの大腸憩室止血法

昨日は午後休みを返上した故に、午前外来だけ頑張れば午後は帰れる、はずだった。しかしー。

昼前に来院した高齢女性は下血が主訴だった。カルテで病歴をチェックすると過去6年で5回以上も下血で来て入退院をくり返していた。最近では年始めにピッピDrが診ていた。原因ははっきりしていて大腸憩室出血だ。今回もきっとそうだろう。ただ、S状結腸の憩室出血と推測されるもはっきりした出血源をこれまで見つけられず止血治療出来ていなかった。絶食点滴安静でそれなりに一旦治ってしまうので退院は出来る、しかしある時期になるとまた血管が切れて下血するの繰り返しだった。

いつもは前処置のモビプレップかニフレックを飲ませてから大腸内視鏡に臨む。しかし今日は私が午後休みでそれまで待てない。それで浣腸のみで検査することにした。もう一つ理由があってまだ新鮮血が出ているというから早めに内視鏡観察したかったのだ。出血している最中なら出血源憩室が見つかるかも・・。

ただ血液と糞便が多く観察不良になるのは避けられない、と思っていたら案外便が残っていなかった。下血が続いたためS状結腸以下の糞便はほとんど出てしまっていたようだ。これは出血源が見つかるかもと期待が高まった。大腸憩室出血治療はまさにこの出血源憩室を見つけるか否かにかかっているのだ。憩室内の糞塊をどかしたりしながら観察していたら、ハッとする憩室を見つけた。↓「あった!」まさに今、出血している憩室だっ。
テンションが上がって、まずはこの憩室内にマーキングクリップを掛ける。クリップだけで出血を止めることも可能だが万全を期すにはゴム結紮による絞扼術をするに限る。いったんスコープを抜去して結紮ゴム付きのフードに交換し再挿入する。そして目印のクリップを中央に持って来て一気に吸引を掛ける。↓。
直後の憩室の様子を見るときちんと根っこまで絞扼できているようだった。ピンク印が結紮ゴム、黄印が出血源に掛けた目印クリップ。↓。
このあと確認すると出血源ごとしっかり絞扼出来ていることが分かった。↓。
これで100%止血だ。後はゴムが外れないように絶食点滴を2、3日続けることだけが患者さには少しつらいくらいで、これまでのような下血におびえたり不意な入院もなくなる。お互いにめでたしめでたしだ。

帰宅出来たのは15時を過ぎていたけれど、医師冥利に尽きる仕事が出来て、多少の休みが削られたことくらいは気にもならなかった。

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