2020年11月6日金曜日

おばさんは間違いやすい

 5階病棟の回診をしていて4人部屋に入った。ここには高齢者のいわゆる寝たきりの患者さんが入室している。うち私の患者は2人だ。

手前のHさんに「Hさん、今日は熱もなくていい感じですね〜」と額を触った後、すぐ隣のOさんに寄り「Oさんはどうかなぁ〜」とベッドサイド名札を見たら・・実はその人はHさんだった。ということは最初に診たのがOさんだったのだ。がーん!

このことをナースステーションで頭かきかき言うと、「ええ、あの二人似ているんで間違いやすいんですよ」と言われた。さらに別の看護師にも「そうなんですよ」と言われたから私だけではなかったんだ。病状や年齢性別が似ていると間違いやすい。無論、投薬や食事は必ず名札やバーコードチェックをするので間違いはまずないが、それでも注意が必要だろう。

後で私はアガサ・クリスティーの某作品を思い出した。中高年のおばさんが二人いた場合、周囲の人はどっちがどっちなのか間違いやすいものだという事実、これが事件の謎を解く鍵になる。短編と長編2作品があり、特に長編の方は隠れた名作だ。クリスティー作品を40篇ほど読んだ私がベスト5に入れているほどなんだが、作品名はここでは挙げられない。まだ読んだこのない人のことも考慮しないといけないからだ。世の中にはそんな配慮のない書き手がいて、クリスティーの有名作品のうち4作を私は犯人を知りつつ読む羽目になった。ほんと、犯人ネタバレをするのは犯罪に等しいよ。

ひょんなことから40年以上前の悔しさを思い出してしまったわっ。

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