2017年10月17日火曜日

井山驚異の囲碁七冠復帰

地味なニュースかもしれないが、関心のある人にとっては大ニュースだった。本日、囲碁の井山裕太が朝日新聞社主催の囲碁名人戦でタイトルを奪取し現存主要タイトル七冠を全て制覇した。実は昨年に一度七冠は制覇していたのだが秋の名人戦で高尾紳治九段に破れ六冠に後退していた。しかしその後もすべて六冠防衛し名人戦も再度挑戦者になり4勝1敗で二度目の七冠制覇したのだった。これは本当に凄い。ただその割には大衆に流布されているとは言いがたくこれは囲碁と将棋の差もあるかもしれない。


将棋では羽生善治が20年ほど前一度七冠を制覇し大きな話題になったが、一度失冠した後は七冠復活はならず、最近では若手の台頭著しくこの前の10月11日には王座戦で失冠しついに残り棋聖一冠のみになった。羽生は初タイトルを獲って以降26年以上一度もただの九段になったことはない。いや、彼は一度も九段と呼ばれたことはないのではないか。確かもっと低い段位六段の時にタイトル(竜王)を獲っているので七段や八段、九段は呼ばれたことがないはずだ。もし棋聖も失冠し無冠になったらもっと大きなニュースになるだろう。その相手が藤井四段ならなおさらだ。(↓は羽生がいかにタイトルを獲りまくっていたかがよく分かる一覧図だ。)

一般に将棋の方が大衆受けがよく棋士も如何に受けるかを考えあるいは行動する傾向にある。これは日本の囲碁の歴史が時の体制者に厚く保護されてきたのに対し、将棋は主に大衆が相手だったからだ。歌手になってヒットを飛ばしたり(内藤國雄)、引退後もひふみんと呼ばれマスコミに引っ張りだこになったり(加藤一二三)、茶髪でカメラ目線や棋士の決意表明のパロディをTV対局前に披露したり(橋本崇載)など囲碁の棋士にはほとんどみられない面白キャラが実に多い。自らなんとかしなきゃ、何もせず大衆に見放されたら食いっぱぐれるという危機意識があるのだと思う。同じ七冠でも扱いが違うのは日本の囲碁と将棋の棋士の置かれている状況の違いといってもよさそうだ。

さて、日本では敵なしの井山七冠、世界戦ではTV棋戦の優勝はあるが大きなタイトルは未だに獲っていない。世界タイトルより日本の大三冠(棋聖、名人、本因坊)の方が賞金がだいたいにおいて高いのだ。日本の棋戦優先にならざるをえなく、世界戦はコンディション無視で例えばタイトル戦終了直後の翌日中国に渡ってすぐに試合なんてこともある。でもそろそろいくつかある世界タイトルも獲ってくれないと日本はお金はあるけどレベルは低いなんて言われ続けているようだしどうにもすっきりしない。本人もそこは分かっているようで世界戦で頑張るとインタビューに答えていたそうだ。その意気や良し。囲碁ファンとしては井山にぜひ頑張って欲しい!

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