2021年3月7日日曜日

ドラマ「星影のワルツ」

2011年3月11日の東日本大震災から丸10年ということでTVなどでは震災関連の特番が多い。今夜はNHKが「星影のワルツ」という関連ドラマをやっていた。岩手県出身の千昌夫の初のヒット曲から取ったタイトルだから岩手の話かというとそうではなく、福島は南相馬町で津波に巻き込まれ助かった男性の実話をもとにしたドラマだった。

初老の夫が主演の遠藤憲一でその妻を菊池桃子が演じていた。夫妻は逃げ遅れてしまい、津波に自宅が襲われた時に2階で紐をくくって離ればなれにならないようにしていたが、夫は気がついたら海上だった。妻の姿はどこにもない。近くに浮いていたのがいつも自分がペンキ塗りしていた自宅屋根でそれに乗って海上をさすらう羽目になった。寒いし喉は渇くし遠くで船が移動するのが見えたが気づいてもらえなかった。襲われる直前に妻が栄養ドリンクを胸の内ポケットに入れてくれたのに気づき少しでも喉を潤すのが精一杯だった。

そんな時、妻がよく歌っていた「星影のワルツ」を口ずさむことで絶望的な気持ちから少しでも逃れることが出来た。流れてきたヘルメットや乾燥布団を拾い少しでも寒さをしのぐことが出来た。真っ暗な空に無数の星がきらめき、海にはぼぅーと光る物体がいくつも見えた。あとでそれはクラゲだったと分かる。これらの光と「星影のワルツ」に励まされた。そして3日目の朝に海上自衛隊の船に発見され奇跡的に救助されたのだ。

ラストシーンは夫婦二人座って向こうを眺めちょこんと妻が夫にクビを預けるシーンで終わっていた。妻は残念ながら亡くなっているのだが視聴している人にも夫にも生きているかのような演出でおもわずうるっと来た。東日本大震災ではこのような家族や夫婦の生き別れたケースがいくらでもあっただろう。生き残った側はなんで自分だけがと自らを責めてしまいがちだ。でも亡くなった側はせめて相手だけでもと思っている。やはりどうあれしっかりと生きていくこと、それが大事なんだ。



劇中「星影のワルツ」は夫婦のつぶやきのような歌声しか聞けなかったが、本家の千昌夫のものがやはりいい。私はマイフェイバリットソング集のトップに「星影のワルツ」を持って来ているくらい好きな歌なので本家の歌唱も聞きたかった。今じゃYouTubeなどで簡単に聴けるのは有り難いね。↓参照:最初にレコード音源、その後に本人歌唱の動画もある。遠藤実が亡くなった2008年から2009年の歌唱と思われる。その頃はやや肥満気味で出川哲朗みたいだが、もっと前の昭和50年代はトレードマークのほくろもあって若々しい。
曲が出たのは昭和41年だが実際にヒットしたのは昭和43年。千昌夫の地道な活動で徐々に人気が出てその年の最大のヒット曲になった。私たち小学3年のクラスでみんなで歌ったほどの人気ぶりだった。紅白歌合戦にその年初出場した千はもちろん歌ったが、その後は全く歌っていない。「北国の春」は5、6回も歌っているのに、同じくらいのヒット曲で人気もあるのにどうも解せない。もっとどんどん歌って下さいな、千さん。

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