2021年3月20日土曜日

温泉で高校野球オタクが語る

チッチと二人、某温泉の湯船に浸かりながら会話をした。甲子園では2年ぶりにセンバツ高校野球が始まっている。となれば二人の共通の好みの話題はそれだ。

高校野球好きにはそれぞれ好みの分野があって、どこが優勝するか予想し合うのが好きなオーソドックスタイプの人以外にも、最近は応援ブラスバンドの曲や各校の音の出し方の違いなどを比較し合う人、校歌オタクの人、どの選手がプロに行けそうか青田買い好みの人、個々の選手のエピソードに興味がある人、イケメン好きな女子オタク、ひたすら球場で観戦するのが好きな実践派などなど万別だ。チッチは「高校野球事件史」という本が愛読書だけあって試合ごとのエピソード好きでそれと高校野球における記録好きでそこは私と全くの共通項だ。

記録ということで言えば何と言っても大会ごとの優勝校だ。例えば私は夏の優勝校なら昭和40年以降なら全部言える。そこはチッチより私の方が長く見聴きしている分有利だ。だがセンバツの優勝校となるとややおぼつかない。夏と違って試合を見られないことが多く、また選手にとって高校生活最後の試合ではないためかやや劇的効果が弱いせいがあるからかも。そこで私たちは2010年以降の優勝校をきちんと言えるか話をしてみた。スマホで調べればすぐなんだけど「それはダメ。そんな安易な道に走ってはいけない、自力で思い出すんだ」といつになくチッチが粘った。

まず二人がこれは絶対に間違いないと指摘したのは、2010年の沖縄の興南と2012年の大阪桐蔭だ。これはどちらも春夏連続優勝だからそれで覚えている。投手は興南が島袋洋奨、大阪桐蔭が藤浪晋太郎と当然出てくる。大阪桐蔭は二度目の春夏連続優勝をその後やっている。それは2018年とすぐに出てきた。次の2019年は平成最後の覇者愛知の東邦と出てくる。ちなみに平成最初の優勝はこれも東邦で対大阪の上宮との対戦で0ー1からどうにか追いついたところ上宮の2塁への走者を刺そうと投げた球が暴投となり劇的サヨナラ2xー1だった。ちなみに東邦はセンバツにやたら強く、計5回の優勝は単独トップである。記録オタクはそこはきちんと抑えておかねばならない。さらにちなみであるが、東邦は夏の優勝は1回もないという春に偏った戦績のチームだ。そこで連鎖反応で覚えておくべきは広島の広陵でここも春チーム。春3回の優勝はあるが夏は1度もない。夏は2017年(花咲徳栄優勝)、2007年(佐賀北優勝)の準優勝が記憶に新しい。さらにチッチは指摘する。「広陵は西暦で7が末尾の時に活躍するけど、結局準優勝なんだ」と。というのも1967年は習志野に負けて準優勝、さらに昭和の始め1927年は高松商に負けて準優勝が4回もある。春も3回準優勝があり(1927年春は和歌山中優勝)合計7回はトップ。20世紀に出た雑誌に「準優勝癖がある」と指摘されていたが、それは21世紀にも受け継がれている。チッチは「次は2027年に決勝に出てきそうだな」とニヤリ。こんな会話、オタクならではだ。さらにちなみで言うと次に準優勝の多いのは県立岐阜商で春3回、夏3回の計6回ある。ただ岐阜商は春3回優勝に夏1回優勝があり実績では広陵をやや上回っている。今年のチームはあの鍛冶舎監督に率いられ優勝候補にも上げられているが果たしてどうか。

おっと、「ちなみに」が多くこの10年の優勝校の半分も指摘していない。5、6年前が優勝校は浮かぶけれど前後して正確に何年がどこと言いづらい。するとチッチが「2015年は福井の敦賀気比だって覚えている、これは間違いない」と断言した。なぜ分かる?実は夏の大会が参考になっていた。2014年の夏の準決勝で敦賀気比が大阪桐蔭にボロ負けした試合があり、そこで発憤した敦賀気比は翌2015年の春、同じ準決勝で逆に大阪桐蔭に圧勝(なんと11ー0)しリベンジを果たすのだ。勢い初優勝までしてしまう。そんなエピソードがオタクの脳の倉庫にはいくつもあって正解を埋めていけるのだ。ならばその前2013年あたりが京都の龍谷大平安の久しぶりの優勝だろうと推測できた。逆に翌年の2016年は奈良の智弁学園の初優勝じゃないだろうかなとこれは私。古豪の高松商の復活優勝を応援していたが智弁の方がやや投手力が勝(まさ)っていた記憶がある。当初智弁の優勝は2017年かなと思っていたが、チッチが「大阪桐蔭は春は2年連続優勝したはずだから2018年が優勝ならば2017年も桐蔭優勝だ」と気づいた。そうならば2016年は智弁学園でないとおかしい。2014年だと自分の記憶よりかなり遠くなってしまい違和感がある。

難しいのは2013年、2011年だ。まず優勝チーム名がすぐには出てこない。こういう時、私は各県別の地図を思い浮かべる。まず東北、北海道は無視する。春は1校も優勝していないという事実はオタクには当たり前だからだ。それと日本海側の県も2000年以降2015年の敦賀気比を除いてこれまた1校もない。だいたい関東か近畿か。そこで埼玉浦和学院の初優勝を思い出した。確か平安と前後してだったから2013年がそこに当てはまる。うんうん。2011年は?チッチも私もその年、福岡の九州国際大付属が活躍し準優勝したと覚えていた。優勝したのは?「うーん、そうだ。東海大相模だ」そうか、そうだな。前年2010年の夏、決勝で興南にボロ負けしたけど翌年の春に優勝して面目を施したんだ。さっきの浦和学院と似ているパターンだ。よし、これでこの10年の春の優勝校をそろえることが出来た。ふー、やったぜー。(あとでベースボールマガジン社のセンバツ特集号巻末で調べたら全部正解だった)

「そろそろ上がろうよ」とチッチが言った。大きな湯船には他に数人の客がいたが、我々の会話を聞いていてどう思ったろうね。不審がられたかな、なにやら一生懸命話し込んでいると思ったら高校野球の話かいって。しかしこうして高校野球の話をしている時というのはオタクにとって結構至福の時なんである。いい湯だったわぁ〜。

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