2024年6月4日火曜日

救急車の有料化・・ではないのよ

救急医療の逼迫(ひっぱく)を改善するため、三重県松阪市の基幹3病院(済生会松阪総合病院、松阪中央総合病院、松阪市民病院)が今月、救急車で運ばれたが入院しなかった患者から、7700円の徴収を始めたという。(以下、AERA dot.記事による)

市には賛否の声が寄せられているが、「救急車を有料化するとはどういうことか」 「有料なら119番通報をためらってしまうかもしれない」といった実は勘違いの声が市民から上がっているという。市の担当者によると、徴収の対象となるのは救急搬送されたが入院しなかった患者のうち、医師が「緊急性がなかった」と判断した場合で、保険適用外の「選定療養費」として7700円を徴収し、病院側の判断によっては、入院しなくても徴収されないこともある。入院しなかったからといって救急車代を取るということではないのだ。

そもそも選定療養費とは、200床以上の病院を紹介状なしで受診する場合に病院が徴収するもので、2016年4月の健康保険法改正で義務化された。松阪市の3病院でも、すでに外来患者で紹介状がない場合は7700円を徴収しているのである。救急搬送の患者も、紹介状がない場合は選定療養費の対象になっている。だが、緊急時に紹介状をもらうのは現実的に難しい場合が多く、救急搬送については徴収の判断は病院側に委ねられているのが現状だ。徴収しない方針の病院もあれば、入院が必要などの条件を満たさない場合は選定療養費の対象になることを明示し、徴収している病院も複数ある。

今回は、市と病院、消防で協議を重ねた上で、ルールにのっとってその枠を広げたに過ぎない。だが、市が方針を公表したため、市の独断専行かのように思い込んだり、選定療養費の義務化を知らない市民から、勘違いに基づく意見や批判的な声が寄せられた。

「救急車を有料化するとはどういうことか」 
「有料なら119番通報をためらってしまうかもしれない」 

ほとんどが誤解や不安の声なのだが、市の担当者は「有料化ではないことなどをご説明しても、なかなか理解していただけません」と困惑する。徴収の枠の拡大に踏み切った背景には、救急出動件数の増加による医療現場の逼迫がある。全国的に問題になっているが、松阪市をカバーする松阪地区広域消防組合は、23年の救急出動件数が1万6180件で2年続けて最多を更新した。一方で市が22年に行った調査では、平日の日中に3病院に救急搬送された人のうち、入院した人は約50%。半数は入院の必要がなかった。

話し相手が欲しくて救急車を呼んだ高齢者や、症状は特にないのに、何十回と繰り返し救急車を呼ぶ「リピーター」、さらに目的地への送迎に救急車を利用しようと119番通報し近所に気づかれたくないからとサイレンを鳴らさずに来るように条件をつけてきた乗客気取りの人、さらには救急車をタクシー代わりにするなどの不適切な利用が全国的に相次いでおり、逼迫に拍車をかけている。松阪市も7700円の徴収により不急の119番通報や、不適切な救急車の利用を抑止したい考えからこのような公表に至ったというわけだ。

救急車なら無料ですぐに駆けつけてくれ病院で診てもらえる、それはそれで基本であり、具合が悪くなり自分で重症かどうかも分からない場合はためらうことなくどんどん119番コールすべきだろう。そもそも実は入院が必要な重症かどうかなんて本人にも分からないことはままある。ただ、中には故意や無意識か安易な考えで呼ぶ一定の人たちがいるゆえにこうした松阪市の取り組みは評価していいだろう。また逆にすべて有料化するのは私は反対だ。お金に余裕のない人たちが困るから・・もあるが、それよりも「お金払っているんだから」と増長し、えらそうに振る舞う「救急患者」が増えるのも迷惑だからだ。今回の松阪市の対応はいい感じだ。どのような効果があるのか、興味深く経過をみていきたい。

↓は青雲会病院救急入口前の姶良消防の救急車(3年前)。ナンバーが119なのはいいね!

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