2025年10月7日火曜日

ホイールプレイ

メジャーリーグ地区シリーズのドジャース対フィリーズ第2戦はドジャースが4対3で勝ち2連勝、シリーズ突破まであと1勝とした。7回表に4点取って9回裏は4ー1で佐々木を出せば余裕で勝ち抜けるだろうという大方の予想をロバーツ監督は調子の上がらないトライネンを投入した。そして案の定打たれ、4ー3になってなおノーアウト2塁という同点、あわや逆転かの危ない場面に陥った。ネットではこの采配を非難するものが多々出ている。

まあそれは置いておいて、ここでこの試合の勝敗を分けるキープレイが出た。投手が左のベシアに代わり、フィリーズは左打者のストットという場面。ロバーツ監督もドジャース内野陣も「ここはきっとバントを仕掛けてくる」と読んだ。そして、それはその通りだった。ストットが左投手を苦手としている上に、フィリーズにすればバントしてワンアウト3塁にしてまずは同点にすれば勝機が大いに広がる。素人でもそう読める。ベシアの初球ボールの後の2投目、ドジャース内野陣は勝負に出た。日本では最近、ブルドッグと呼ばれるギャンブル性の高い攻撃的守備で、1塁手と3塁手が猛然とバント打球めがけて突進し、捕球したボールを3塁に投げ2塁走者をアウトにするというシフトだ。3塁にはショートが入り、1塁には2塁手が入る。結果、この作戦は見事に決まり、3塁手前でショートのベッツが2塁走者をタッチアウトにした。ワンアウト1塁になり、その後をどうにかしのぎ、1点差を守り切って勝利した。

NHK解説の小早川毅彦は「うまい!」「メジャーリーグでは滅多に見ないプレイ」を感嘆し、ワースポ&MLBの里崎智也は「守備があの動きをすれば日本では攻撃側はバントをしないが・・」とつぶやいた。このバントシフトはアメリカでは「ホイールプレイ」というらしい。野手が車輪のように動くためで、日本では両頬が垂れたブルドッグに似ているため「ブルドッグ」と呼ばれるバント絶対阻止のシフトだ。その日のアメリカの野球番組でも解説されていた。解説をいろいろ聞くと、ドジャースのショートベッツの動きが良かったようだ。まず、2塁走者にこの作戦を実行すると悟られないためにベッツは走者の背後にいて自身の動きを遅らせていた。
そしてベシアが投げた直後にベッツは猛然と3塁に向かって走った。ベシアはわざと3塁側にバントしやすい球を投げていた。バットに当てる前にすでにベッツは2塁勝者に対し2〜3歩のリードを取れていた。
3塁手のマンシーが猛然と打球に向かって行く。捕球した時点での画像を見ればこの作戦がほぼ成功したことが分かる。

ただ、フィリーズの2塁手は上の写真の時点で2塁に引き返せば、ベースはがら空きだったのでアウトにはならずにすんだ。しかし実質それは無理だったろう。体が3塁を向いてしまっている。余裕でタッチアウトを取れた。

このプレイ、もしドジャースが勝ち上がれたとしたらシリーズ全体の勝敗を分けたプレイとなるだろう。

ただこのホイールプレイ、最近の高校野球ではしょっちゅう見るんだ。なぜなら延長戦に入った時、ノーアウト1塁2塁から始めるタイブレーク制が取られているからである。攻撃側はワンアウト2塁3塁にしようとバントを仕掛けてくる。それを阻止しようとブルドッグ、アメリカでいうホイールプレイを仕掛け、成功することがよくある。昨年夏の甲子園名勝負、大社対早実では両校とも成功させていた。今回のドジャース対フィリーズ戦とは違ってタッチプレイ不要だからだ。

いや〜、それでも1戦1戦が勝負のポストシーズンゆえのしびれる攻防だった。こういうのがあるから野球観戦をやめられない。そしてドジャース、フィリーズ両チームの健闘を祈る気持ちにもなる。だが、アメリカの野球ファンはというか特に東海岸のニューヨーク、フィラデルフィアのファンはそうではない。負けが続くと自チームに対し手厳しい意見や罵声を浴びせがちだ。それがあるからヤンキースなどあれだけワールドシリーズ優勝(27回)をやり遂げているのだろう。その「われらがフィリーズ」を罵倒する試合帰りの様子がSNSに投稿されているので↓をどーぞ。これ見ると、阪神ファンの負けたタイガースへの野次など可愛いもんだよ〜。「敗退後の街頭インタビューで暴言が止まらないフィリーズファン」https://www.youtube.com/watch?v=ymFb8P0dHh4

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