2026年6月19日金曜日

悪運、使えるのは1回だけ

夕方、外科からの依頼で大腸癌の高齢男性患者の狭窄した横行結腸に自己拡張型金属ステント(SEMS)を留置する手技を行い無事終わった。

その後、タクミDrと内視鏡室で四方山(よもやま)話などしていると「アラマダDrが1週間前に亡くなったって知っています?」と聞かれた。「いや、知らない。初めて知った」と私。「膵臓癌だったらしいです」とのこと。アラマダDrは私たちと同じ鹿児島大学の旧第二内科出身のドクターで、私より3つ年上、タクミドクターと同い年だ。専門グループが腎グループだったので、私との直接の付き合いはほとんどなかった。しかし、住んでいる団地がいっしょだったし、1週間とはいえ以前なら亡くなったら情報が流れるはずだが、昨今の個人情報の未公開風潮のせいか全く知らなかった。

カールによると3人の子どもがいて2番目の長女が確か医者になっているはずだという。カールの友人のバンブックさんはそこの奥さんとも知り合いで、さすがに病状は数年前から知っていて、最近再発したと聞いていたそうだ。69歳は今の時代死ぬにはまだ若い。

そういえば今日午前、大腸ポリープ切除後の病理結果を聴きに来た70歳代の男性がいた。去年、血便が出たとのことで、生まれて初めて受けた大腸内視鏡で大きなポリープがあり内視鏡切除を受け一部に癌が見つかった人である。幸い癌は粘膜の内側にとどまっており追加腸切除を受けずに済んだ。ただし1年後の大腸内視鏡フォローアップは必要で、この前受け、今度は小さな良性ポリープが2個ほどあっただけだった。

その患者さんは「健診とか1回も受けたことがなかった。市から受診の封筒が来てもすぐにゴミ箱に捨てていた」んだそうな。「あなたは悪運が強いんですね」と私は言った。普通は、そんな一度も検査を受けずにいると、今日の午後の患者のように大腸癌末期になって手術も出来ずに金属ステントを入れて通過障害だけは防ぐ治療を受ける羽目になる。まあ、去年で分かってくれたのか、定期フォローアップ検査はまじめに来ているから今後は大丈夫だろう。

同じ癌でも、膵臓癌はなかなか予防や治療そのものが難しいが、大腸癌は健診や早めの検査でほぼ確実に助けられる。「悪運」も使えるのは一度だけと肝に銘じましょうぞ。

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