しかし相手は治療を受けに来た患者である。1ヶ月前の診察で血圧が170から180台とかなりの高血圧ならば治療薬を出すのがまずは真っ当な医療というものだ。その人は80歳代後半女性で、以前は静岡に住んでおられ、半年ほど前に近くの介護サービスもあるマンションに引っ越してきた。この人は「以前の病院で『私は病院や薬が嫌い』と言ったらそこのDrに『もう来るな』って言われたの」だったそうで、「それはひどい言い方されましたね。当院ではそんなことは言いませんよ」と答え、降圧薬をまずは1種類処方し、自宅血圧を測定して次回持って来るよう指導をしていた。それで約束どおり、4週間後に私の外来に来て血圧手帳を見せてくれた。うん・・?
ほとんど血圧は下がっていないじゃないか。よくて160台、180台もままある。「いや、これは薬が効いていないですねぇ」と言うと、「私、薬を飲んでいなかったんです。食事療法で治したいと思ってー」「え、でも手帳にあるように全然効いていませんよ。こんなに高かったら薬を飲んででも下げなきゃー」「私、婦人科の薬で失敗したから〜」という。どんな失敗は知らないが50年も前のことらしい。それに97歳まで生きた姉がいて、彼女を自分は食事療法で長生きさせたからーと言う。それでも「このまま血圧が高くていいことはない。急な脳出血もあるかもしれないし、心臓、腎臓、血管どれにとってもいいことはない。薬を飲みましょう」と説得した。しかし、どうにも反応が鈍い。思わず「だったら、もう病院には来るな!」と言いたくなった。
「当院はそんなことは言わない」と前回言い切っただけにそこはぐっとこらえたがどうにも対処しづらい患者さんだ。そこで話題を変え、当院では採血をしていなかったため採血を指示した。すると貧血が結構目立っていた。半年前の静岡の病院より結構下がっている。消化管出血も疑われまずは胃カメラを予約させた。当然血清鉄も低いので鉄剤も出したが果たして飲んでくれるだろうか。まあ食事でも鉄はある程度補充は出来るが食事に含まれる鉄と薬に含まれる鉄に特に差違はない。薬なら1ヶ月でだいたい正常化出来るのだが・・。
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