2019年9月17日火曜日

その腹痛の原因は実は・・

1週間ほど前に右上腹部の痛みで外来受診した中年男性がいた。お腹を上下左右に4分割すれば右上腹部というのは一番腹痛が多い部位に当たる。胆嚢があり十二指腸があり大腸や腎臓、尿管もあり痛みの原因は様々だ。診察のほか、採血やエコー、レントゲン、CTなど検査して原因を探るのだが、その男性は今ひとつこれといった原因が分からず、それとものすごく痛むというわけではなかったので胃薬を5日分ほど出して次回胃カメラまでと指示を出していた(本人の仕事の都合で1週間後に検査となった)。もしかしたらこの前話題にしたように最近では少ないがまた十二指腸潰瘍かなとも思っていた。

しかし胃カメラの結果は十二指腸潰瘍はなくせいぜい小っちゃな胃のポリープがあったくらいでとても腹痛の原因と言えるものではなかった。はて、となれば腹痛の原因は私には分からない。さほど痛まないのであれば様子見でお茶を濁すか・・なんて考えていると、本人が「痛みはそんなに強くはないんですけど何かピリピリした痛みなんですよねえ」と言う。そこでハッとなった。

「ちょっともう一度お腹を診せてくれませんか」

先週も当然腹部は診ていたはいたが特に変わった所見はなかった。今日は・・あった!ちょうどお腹が痛むという部位にポツポツポツと水疱状の発疹があったのだ。帯状疱疹である。これは時にあることだけど発疹出現数日前くらいから痛みが出ることがある。発疹なしでは帯状疱疹の痛みとはまず気付かない。ましてや腹痛の一番多い場所なら・・。

結局、治療薬である抗ウイルス剤と鎮痛剤を処方しきちんと内服するよう説明指導した。病気は後から診察するとよく分かることがある。それとやれCTだ内視鏡だと高度な医療機器もいいけれど、触診視診など基本診察が大事だってことを改めて実感したこてる先生であった。

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