昨日のこと、ピッピDrがある質問をしてきた。それはピロリ菌検査で一番信頼性が高いとされる尿素呼気試験についてで、「もしかするとこの検査では陽性と判断されても半分位くらいしか正しく検査できていないのではないか?」というものだった。
「尿素呼気試験のだいたいの精度ですが、感度、特異度ともに90%くらいと聞いています。で、ですね、今の日本人の40才以下はピロリ菌感染率がかなり低くなっていてだいたい10%くらいらしいです。するとですよ、センセ。大まかに私が例を出してみました」といって紙に書きだした。↓の写真を見て欲しい。その後ピッピDrの意見を書く。
ピッピDr「例えば1000人の母集団には10%100人にピロリ菌陽性患者がいることになります。その1000人に尿素呼気試験を実施すると、感度90%だから90人がピロリ菌陽性と判定されることになります」ここまでは確かにそうだ。彼が言うには「1000人のうちピロリ菌陰性者は900人になります。それを尿素呼気試験で判定すると特異度90%だから810人が陰性となります。するとどうでしょう。900人引く810人で90人が陽性となって、尿素呼気試験で陽性と判断した患者のうち感度側で90人、特異度側で90人いてこの検査は陽性と判断しても半分くらいしか正しい結果が出ないことになります」と言う。はたして精度の高いと言われる尿素呼気試験は本当にそうなのか?というのだった。
これを指摘された瞬間、私は何かがおかしい、素直には信じられないと思った。そもそも医学の世界では感度とは「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」で、逆に特異度とは「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」のことである。じーっと考えて私はピッピDrのミスを指摘した。上の画像で90と810に赤丸を書いたのは私である。「この赤丸の90人と810人は正しい数字だね。でも特異度で指摘した900ー810=90の90人をピロリ菌陽性とするのはおかしいよ。この90人(黄色矢印)は正しくは『ピロリ菌陽性かもしれない陰性かもしれない』とすべきなんだ。だからこの欄に90と書き入れてはいけない。同じく感度側での10人もピロリ菌陰性とするのは間違いで陽性か陰性かはっきりしない10人なんだ」私にははっきり彼の指摘が間違いだと分かった。陰性と判定されない人たちを「ならば全て陽性者だ」としたところに間違いがあったのだ。
指摘されたピッピDrはすぐにはピンとこないようだったが「実は今日、千門Drに質問を受けて自分なりに考えてだした結論でしたけど『何かおかしいなあ、でも計算するとそうなるし・・』って、迷い道に入ってしまって」と頭をかいていた。みなさんもこの問題分かるかな。
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