2019年10月12日土曜日

むっちゃんの死をムダにしないために

南日本新聞の朝刊の死亡広告欄に「夫 猪俣睦彦はかねて病気療養中でありましたが・・」とあった。うん?「猪俣睦彦」ってあの「むっちゃん」か?MBC放送のタレントでTVによく出ていたし、鹿児島ではTVCMでの「カライモアメは、やっぱぁぃ、ふじやあめで〜ぇ〜す」で有名だった。そんな単に死亡広告だけで済むはずがないとめくると、やはりきちんとした新聞記事が出ていた。73才だったんだ。だとすればあの時は40才だったのか。

それは私が医師1年目の研修医で、3ヶ月間だけ「かしましい病院」での外科研修をしていた頃、「むっちゃん」が入院していると聞いた。今は故人となった外科の迫田晃郎院長の回診についていると、そこにえらく眉毛の濃い丸っこい眼をした男性患者がいて、それがむっちゃんだった。あれ、TVで見るよりずっと南方系の顔だなと思った。今なら「縄文人顔」とでも言うべきか。その場で迫田院長に「うん、これなら本格的な手術をしなくても大丈夫やろ」と言われ、むっちゃんはほっと嬉しそうな顔をしていた。その直後、院長が「カライモ飴を食べていれば治っが(治るよ)」とニヤリと言い放ち、むっちゃんも破顔一笑していた。側に付いていた奥さんがふくよかな方でいっしょに笑っていた。

新聞によると死因は大腸癌だとか。うーん、胃癌大腸癌は罹患するのは防げないかもしれないが定期健診など受ければ命までは取られないで済む疾患だ。40才を過ぎたら何も症状がなくても胃カメラや大腸内視鏡を受けることをお勧めしたい。大腸内視鏡は毎年なんていらない、極論なら10年に1回でもいい。一度でも大腸内視鏡を受けたことがある人は大腸癌で死ぬ確率ががくんと減る。症状(血便など)があってからだとすでに進行癌ということもよくある。つい一昨日受けた50才代の人がそうだった。それと大腸癌は進行癌でもかなりの人が手術を受ければ助かる。みんなめんどくさがらずに一度でいいから大腸内視鏡を受けることをお勧めする。検査が痛いかもって?そんなことはない。検査が終わった人はたいてい皆喜ぶ。妙にすっきりした気分になるようだ。便もスッキリ気分もスッキリ。みんな大腸内視鏡検査を受けてみよう。

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