そこでハッとなった。顔だけでなく右耳も赤く発赤していたのだ。左耳は全くどうもない。これって何ヶ月か前に医事新報の扉問題に載っていた疾患そのものじゃないか。
「丹毒」
皮膚の感染症の一つで蜂窩織炎(蜂巣炎)と似た所見であるが、丹毒は皮膚の浅い層(真皮)までしか侵されないのに対して蜂窩織炎はそれよりも深い層(真皮深層、皮下組織層)まで侵されるという違いがある。これは医事新報からの受け売りだが、以上の違いがはっきり出るのが「耳が侵されればそれは丹毒である」という点だった。耳(耳介)には真皮までしか層がないのである。従って蜂窩織炎にはなりようがないためそこが炎症すればそれは丹毒しかない。ここは大事なポイントですよ、それをMilian's ear signと言うんですよ、と書かれていたのを思い出したのだ。丹毒であれば抗生剤はペニシリン系が効くケースが圧倒的に多い。診断が付けば治療法まで自動的に分かる。
(↓丹毒の右耳と正常の左耳の差が歴然)
ちなみに医師になって30年以上なるが「この病気は『丹毒』である」と診断したのは全くの初めてだった。皮膚科ではありふれている病気でも今まではホーカシキエンですかねえくらいで治療をしていた(それでも治療効果はある)。いやーお勉強って大事ですね〜。
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