金曜午前は外来担当で最初に子宮がん検診のスメア検査が数名ある。それが終わって本格的に外来に入るのだが、今日はいきなり「高齢男性の救急要請があります」と来た。金曜午前救急担当は本当は2年前に亡くなったピッピDrの担当だった。しかしその後は特に決めずに搬送患者の症状で誰かが受け持つことにしている。だいたいは内科が多いので私に振り分けられることが多い。
発熱があると聞いていたのでまずはコロナのPCR検査をしてから診察をすると指示して、スメア検査に行った。今日は3名でそれほど多くなく助かった。すぐに救急外来に戻り、採血や点滴、レントゲンなどの指示を出していたら、「また高齢男性の救急要請です」だと。廊下で動けなくなっているからだって?しやーない、受入れOKでこのあとしばらく救急外来に張り付けになった。その間、私の外来は当然ストップだ。内服処方のみで済む患者さんは各Drに振り分けられ、どうしてもという人だけ(たまに何時間でも待つという人もいる)待機してもらう。
結局その2人は私の担当で入院になった。その間、ちょっとイラついたのは「こてる先生に話しがしたいという電話が入っている」と連絡あり「何?」と尋ねると、ある30代女性からで名前を聞いてすぐに分かった。放射線女だ。すぐに「拒否してくれ。全くもう」と断った。
この人は当院では有名で、10年以上前から「私は大学生の時、大学の放射線回折装置で被爆して死にかけた。今もその症状で苦しんでいる」と訴え続けているのだ。おかしいと思いつつも最初のころはその訴えに応じて検査や診察をしたが特に目立つ異常はなく、しかも40シーベルトもの放射線を浴びたと訴えるので、これは本当におかしいと何度もその矛盾点を指摘してきたが全く埒(らち)があかなかった。40シーベルトの放射線を浴びると人は確実に死ぬ(致死量は7シーベルト)。なのに彼女はいろいろ症状を訴えるわりには元気そうに見える。
訴えに応じて紹介状を書いたこともあった。また、当院だけでなくあちこちの医療施設を受診しているようなのでこの日記を読んだ医療関係者の中には見当が付く人もいるかもしれない。最終的に私が付けた病名は「放射線被害妄想」だ。そしていくら説明しても何の効果もないので現在は診ないようにした。ともかく彼女の診察は1時間以上もかかり結果は何も変わらない、10年以上訴えていることが何も変わらないということは驚き呆れるほどだ。そういうことが何度も続き、ほかの患者の診察にも支障を来すようになったので、診療拒否は当然の経緯だった。しかし彼女はあきらめない。受付の段階で「こてる先生への診察は出来ません」と断っているのだが、受付を通さず突然診察室に入って来て「放射線がどうのこうの」といきなり語りかけてきたりするので昨年は警察を呼んだこともあった。また逆に保健所から「おたくは何で患者さんの診察を拒否するのか」と質問が来たこともあり、震源はやはりその放射線女だった。今月はすでに電話で私への受診を希望の連絡が一度ならず来ており、こっちとしては、また始まった、不毛な時間で診察の邪魔をされたくないと当然拒否の姿勢だ。
昼前にはドック利用者でどうしてもこてる先生で胃カメラをという人が2名いたので担当日ではないが内視鏡室に出向いた。「済みませんねえ、わざわざお願いして」と言われれば「いえ、どうしたしまして」とスムーズに検査もしましょうというものだ。診療する側とされる側との信頼関係が取れることを医療用語で「ラポールが取れる」というがほとんどの患者さんやドック利用者との間にはラポールが取れている。これがないと診療は本当に難しくなる。
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