お盆には早いがセージとチッチも家にいて休みなのが今日ぐらいしかないので実家に墓参りに向かった。甲子園は智弁和歌山対津商戦をやっていた。カールの車だったので助手席でこの試合を見ていた。21回目出場の有名強豪と初出場の対戦とあれば日刊ゲンダイならずとも智弁の勝ちを予想する。しかしこれが今大会すべての初戦の中で一番の番狂わせとなった。
智弁が1回の裏に早くもヒットを重ね2点を先取したがもっと取れそうだったのにそこでうまくしのがれてもつれる予感がした。案の定その後津商はしぶく点を入れ同点になった。でもまだ智弁がいずれ点を取るだろうと周囲も本人たちも思っていたに違いない。しかしセンターの暴投で本塁突入ランナーを得点させたあたりから守備がおかしくなった。もう見ればエラー動けばエラーのオンパレード。初出場校はどっちよと言わんばかり。ことごとく津商の得点に結びつきあれよあれよと大差がつき8回に智弁の有名応援歌「ジョック・ロック」がかかり2ランホームランが飛び出すもそこまで。9-4で智弁は敗れてしまった。一つのエラーの連鎖反応で高校生心理のもろさが出たと単純に考えていいのか。甲子園オタクとしてはなぜこうなったのか現時点で検証してみたい。
そもそも智弁和歌山は強豪校と知られているが意外に初戦で負けることの多い学校である。20回出場して9回も負けている。同じ強豪と知られる明徳義塾が初出場から16回連続初戦勝利し1回も負けていないのとは対照的だ。私が考えるのはこれは調整方法の違いによるものではないかということだ。以前、智弁の高嶋監督のインタビューを読んだことがあるが、監督は「優勝でなければ1回戦で負けるも同じ」と考えているらしい。それで甲子園大会に入って調子が上がるように県予選中もへとへとになるまで身体を鍛えるらしい。そして本番に入る。すると身体がだんだん軽くなり疲れも取れてくると試合で活躍し始め特に打力に任せて圧倒し、優勝、準優勝となる。しかしこの調整法だと予選でころりと負ける可能性があり実際そうなることもあるらしい。
逆に明徳は予選から甲子園初戦にピークを持って来ているようだ。初戦には何が何でも勝つ方針でそれは学校の方針かもしれない。初戦は事前に対戦相手が決まってから日数が結構ある場合が多い(最大で9日も間があく)。対策を立てやすいわけだ。しかし3回戦、準々決勝と進むにつれデータがあっても対策する時間はそうはない。しかもピークが前半なのでそのころは調子が落ち後半勝てなくなる。
そもそも予選や本選初戦にピークが来るのは明徳が高知県にあるのも関係がありそうだ。高知には野球強豪校が多い。高知、土佐、高知商などなど。そこにピークを持っていかないと甲子園に行くことが出来ない。それに比べ和歌山は智弁以外そんなに強豪校はない。他に有力私立がなくかつての箕島もそもそもが公立高で尾藤監督亡き今は中堅レベルだ。予選にピークを合わせなくてもちょくちょく県優勝出来る環境ゆえに本選に焦点を当てる調整法となったのかもしれない。
智弁和歌山は夏20回出場で優勝2回準優勝1回、春は11回出場で優勝1回準優勝2回となかなか立派である。対して明徳義塾は夏16回出場して優勝1回準優勝0回、春は15回出場で優勝0回準優勝0回と全く振るわない。初戦はほとんど勝っているのにー。春は初戦に限って言えば智弁は11戦して8勝3敗と夏に比べ成績はいい。明徳も春は13勝2敗とこれまた優秀だ。春は夏と違い予選がなく秋の段階で出場出来るかは予想がつき調整はしやすいためか智弁も初戦はだいたい勝つ。ただ初戦で負けても決勝戦で負けても同じという高嶋監督の思想と初戦は何がなんでも勝つという馬淵監督の調整法の違いが優勝準優勝回数の違いを生んでいると思われる。
今大会、高嶋監督は監督勇退を考えていると伝えられている。勇退するつもりの監督は何を考える。初戦だけは勝ちたいと考えるか?これまで最多勝利数記録を持っている監督がそんなちんけな思いで戦いに臨むだろうか。「有終の美を飾る」高嶋監督はいつもより優勝を強く望んだのではないか。ならば初戦で負けるかも知れないが優勝する可能性のある調整を選手たちに施したと考えても不思議はない。その結果、まだ疲労の残る選手たちは本選であるにもかかわらず集中力を欠いた。あのエラーの連鎖は体力、集中力がピークに達していない状況下で生まれたのではないだろうか。
同じような力量を持っていても調整法で結果はかくも変わる。今回の智弁和歌山の惨敗はそれが原因だったと思えてならない。
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